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アメリカ 退職者に宣言書の署名をもらう

2016.10.02

A. K.

アメリカに特許出願をする際、発明者が宣誓書/宣言書(oath/declaration)に署名をしてUSPTOに提出する必要があります。
しかし、発明が完成してからアメリカに出願するまで数年が経過している場合も多く、その間に発明者が退職してしまうケースも発生します。
退職者に気軽に連絡ができる状況であれば良いのですが、実際には社内手続の問題や、「今さら退職者に連絡を取るなんて申し訳ない。」という心理的なハードルが高く、対応に困るという知財部さんから相談をよくいただきます。

悩ましい問題ですが、個人の見解を先に書きますと、
・とにかく退職者に宣言書を送付して署名を依頼してしまう。
・もし連絡がつかなかったり、署名を拒否されたら代替陳述書を提出する。

という手順がベストだと考えています。詳しい理由は以下のとおりです。

まず大原則として、宣言書は、発明者により署名される必要があります。
例外的に、発明者から宣言書が取得できない場合、
譲受人等が代替陳述書(Substitute Statement)に署名をすることで、宣言書に代えることができます。
ただし、代替陳述書が使用できるのは、以下の(1)〜(4)の場面に限られます。

(1) Inventor is deceased,
  発明者が死亡
(2) Inventor is under legal incapacity,
  発明者が法的無能力
(3) Inventor cannot be found or reached after diligent effort, or
  正当な努力を尽くしたが発明者が見つからない、連絡がつかない
(4) Inventor has refused to execute the oath or declaration under 37 CFR 1.63.
  発明者が署名を拒否

「発明者が退職した場合」は含まれませんのでご注意ください。

例えば、まず発明者に署名を依頼して、(3)連絡がつかないまたは(4)署名を拒否される状況になったとき、初めて代替陳述書を用いることができます。
ちなみに、代替陳述書を使用する場合、証拠として宛先不明となった書留記録や、署名を拒否する旨の連絡があったメールなどを保存しておく方がよいそうです。
(代替陳述書の提出時に証拠書類を提出する必要はありませんが、特許庁から提出を求められたり、係争等で必要になる可能性があります。)
お困りの件がありましたが、SKIPまでご相談ください。

参考情報:代替陳述書フォーム
http://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/aia0002.pdf

by kh

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