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PCT出願のコツ

2016.06.28

SKIP

●日本出願⇒PCT出願と最初からPCT出願をどのように使い分ければよいか。

・「日本出願⇒PCT出願」のメリット
(a)PCT出願時に新たな実施形態の追加が可能
(b)早期審査を請求すれば、PCT出願前に審査官の見解が得られ、その内容をPCT出願に反映させることができる。
(c)特許権存続期間は出願日基準なので、「最初からPCT出願」よりも特許権存続期間が長くなる。

・「日本出願⇒PCT出願」のデメリット
(a)国内出願の庁費用(15000円)が余分に必要になる。
(b)日本出願とPCT出願の両方で代理人を使う場合、「最初からPCT出願」の場合よりも代理人費用が高額になる。

・「最初からPCT出願」を行うことのメリット
(a)国内出願の庁費用(15000円)が節約できる。
(b)日本出願とPCT出願の両方で代理人を使っている場合に比べて、代理人費用が節約できる。
(c)PCT出願から3ヶ月程度で国際調査見解書が得られる。この内容に基づいて、PCT出願を基礎にしたPCT出願を行うことができる(早期審査の要件を満たさない場合でも、早期に審査官の見解が得られる。)

・「最初からPCT出願」を行うことのデメリット
(a)実施形態を追加したい場合、PCT出願を基礎にしたPCT出願を行うことができるが、支払い済みのPCT出願費用の約20万円は帰ってこない。
(b)特許期間は出願日基準なので、「日本出願⇒PCT出願」の場合よりも特許期間が短くなる。

・比較
上記の内容を比較すると、自社でPCT出願を行う場合でも、代理人を使ってPCT出願を行う場合でも、「最初からPCT出願」を行うメリットは小さいと思われる。
ただ、早期審査の要件を満たさない場合で、早期に審査官の見解を得たい場合には、「最初からPCT出願」を行うメリットがあると思われる。

●PCT出願時の自己指定

PCT出願で日本を指定することには、少なくとも次のメリットがある。
1.特許期間の延長。PCT出願日から起算されるため。
2.審査請求期間の延長。PCT出願日から起算されるため。
3.明細書内容の改善。多かれ少なかれ、明細書を見直せば、その内容はブラッシュアップされる。
4.審査請求料の低減   審査請求料は、日本の国際出願についてはかなり安くなっている。請求項が10個の場合、63,000円安くなる。  

デメリットは、国内移行の際に特許事務所に高額の移行手数料を請求されること、のみだと思われる。
SKIPでは、移行手数料を1万円にしているので、SKIPを通じて日本に国内移行する場合は、費用面でも自己指定が有利になる。

●日本出願の審査請求

日本出願の審査請求は、日本出願の直後に行うか、自己指定したPCT出願を国内移行したものに対して行うのがいいと思われる。

前者の場合は、以下のメリットがある。
(a)早期審査を請求すれば、PCT出願前に審査結果が得られ、その内容をPCT出願に反映させることができる。
(b)PCT出願時に「先の調査結果の利用請求」を行えばPCT出願費用が28,000円安くなる。

後者の場合は、上記の「PCT出願時の自己指定」で示したメリットがある。

●日本出願の早期審査

早期審査の活用が多い→3ヶ月程度で審査結果。
特許査定の内容でPCT→ISR見解書は必ずオールAになるので、その後の権利化が有利。
拒絶査定になれば内容を追加して国優も可能。
近日中に製品化予定の場合、実施予定を理由に申請可能。「請求項○○に記載されているように、○○○○の点を○○○○した○○○○を取り付け、○○○に○○○○を設けた○○○○○を2年以内に生産開始する予定の実施関連出願である。」

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