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【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #3 特許法の目的とは? 「発明」の定義や具体例・特許を受ける条件を解説

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2024.11.28

AKI

特許法の目的とは?「発明」の定義や具体例・特許を受ける条件を解説

特許制度は、発明を保護・利用し、技術革新を支える仕組みです。本記事では、特許法の目的から「発明」の定義、特許を受けるための条件まで詳しく解説します。産業の発展や新しい技術の創造に寄与する特許制度の基礎を知り、特許取得に向けて準備を進めましょう。

特許法の目的

特許法の目的は、「発明の保護および利用を通じて発明を奨励し、産業の発達に寄与すること(特許法第1条)」にあります。発明は目に見えない思想やアイデアであるため、物理的な物品のように占有や支配が容易ではありません。このため、制度による適切な保護がなければ、発明者はそのアイデアを秘密にしがちになり、それが有効に活用されず、さらには他者が同様の研究に重複して時間や資源を費やすリスクが生じます。

特許制度は、こうした課題を解決するために設けられました。発明者に対し、一定期間の独占的権利(特許権)を与えることで発明を保護すると同時に、その発明を公開することで他者による利用や技術の進歩を促します。

これにより、発明は人類共通の財産となり、改良発明や新しい発明が生まれる機会を提供します。このように、特許制度は技術の発展を支え、産業全体の成長に寄与しています。

 

特許法上の「発明」とは

特許法第2条では、「発明」を自然法則を利用した技術的思想のうち高度なものと定義しています。この定義には以下の4つの要件があります。

 

1.自然法則を利用していること

「自然法則」とは、自然界で経験的に確認される科学的な法則を指します。例えば、エネルギー保存の法則や万有引力の法則などが該当します。特許法上の「発明」と認められるためには、課題に対する解決手段に自然法則を利用していなければなりません。

特許になり得る発明:風力発電装置(風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置)

特許にならないもの:数学上の公式(自然法則の利用ではなく、抽象的な概念であるため)

 

2.技術的思想であること

特許法上の「発明」は、技術的な解決手段を伴うものである必要があります。単に個人の技能や芸術的な表現、情報の単なる提示は技術的思想とみなされないため、特許の対象にはなりません。

特許になり得る発明:自動運転技術(車両の自動制御を実現する技術)

特許にならないもの:フォークボールの投げ方(個人の技能に依存するため)や絵画や彫刻(美的創作物であり技術的思想ではない)

 

3.創作であること

発明は創作でなければならず、天然物の単なる発見は特許の対象にはなりません。ただし、天然物から人為的に単離・精製した化学物質や、人工的な操作によって得られた新たな物質は発明として認められる場合があります。

特許になり得る発明:抗生物質(天然物を分離・精製して得られた化合物)

特許にならないもの:野生植物の自然状態での発見

 

4.高度なものであること

「高度」は、実用新案法に基づく「考案」と区別するための基準です。ただし、高度でないという理由だけで「発明」として認められないことはありません。特許法では、より具体的で実現可能な技術であることを重視しています。

特許になり得る発明:ナノ粒子を用いた新型電池技術(高度な技術的貢献を伴うため)

特許にならないもの:一般的な釘の形状変更(高度な技術とはみなされない場合が多い)

 

特許を受けることができる発明

特許を受けるためには、すべての発明が対象となるわけではなく、いくつかの厳しい要件を満たす必要があります。それぞれの要件を具体例を挙げながら解説します。

 

1.産業上利用できること(特許法第29条第1項柱書)

特許を受ける発明は、産業として利用可能でなければなりません。「産業」とは、工業や農業だけでなく、サービス業や運輸業など幅広い分野を含みます。一方で、学術的・実験的な目的だけで利用されるものは特許の対象外です。

特許が認められる例:新しい医療機器や農業用のドローン技術

特許が認められない例:実験室でのみ使用可能な新しい化学反応

 

2.新規性を有すること(特許法第29条第1項)

発明は「新しいものである」ことが求められます。すでに公然と知られたり、実施されたりしている発明は新規性がないと判断され、特許を受けることができません。

新規性が認められない例:テレビ番組で発表された発明や特許出願前に店頭で販売されていた商品

 

3.進歩性を有すること(特許法第29条第2項)

進歩性とは、当業者(その分野の専門知識を持つ者)にとって容易に思いつく発明ではないことを意味します。単なる改良や既存の技術の組み合わせでは、進歩性がないとみなされる場合があります。

進歩性が認められない例:既存の船外機と空中プロペラを組み合わせた船や椅子用キャスターを机用に応用しただけの発明

 

4.先願主義に基づく優先権(特許法第39条及び第29条の2)

同じ発明について複数の出願がある場合、先に出願した者が特許を受ける権利を持ちます。これを「先願主義」と呼びます。発明を完成させたら、すぐに出願することが重要です。

 

5.公序良俗等を害さないこと(特許法第32条)

公序良俗や公衆の衛生を害する発明は特許の対象外です。たとえ技術的に新しくても、倫理的または社会的に問題がある場合は認められません。

特許が認められない例:ヒト自体を遺伝子操作で得る技術

 

6.明細書等が規定どおり記載されていること(特許法第36条)

発明の技術内容を公開し、特許の範囲を明確にするため、明細書や図面には正確で簡潔な記載が求められます。また、出願時点で知っている先行技術の情報を開示することが義務付けられています。

 

まとめ

特許取得に向けた準備や出願プロセスには、専門的な知識と的確な判断が求められます。特許制度に関する疑問や、発明が特許を受ける条件を満たしているかどうかの確認は、専門家に相談するのが安心です。

特許に関するお悩みや出願については、SK弁理士法人にご相談ください。

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