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【スタートアップ支援】奥野弁理士が審査・評価委員をつとめる農水省AgriFoodSBIRの総額467億2千万円のスタートアップ向けファンドの第1回公募の採択結果が公表されました。

2023.12.28

奥野 彰彦

SKIPの奥野弁理士は、実は、20歳頃まで山奥の限界集落で農業・林業の家業を手伝い、薪割りや炭焼などをして、五右衛門風呂に入るような生活をしていたため、田舎が大好きです。そのため、SKIPの奥野弁理士は、個人的なライフワークとして、いわゆるAgri Tech+Food Tech+Climate TechなどのDeep Tech®と呼ばれる領域のスタートアップの知財戦略の支援を行っています。

その一環として、SKIPの奥野彰彦弁理士は、農水省AgriFoodSBIRが今年から立ち上げられた、総額467億2千万円のAgriFood分野のスタートアップ向けのファンド(Climate Techも助成対象 補助率100% 限度額 150億円)の審査・評価委員に就任させていただいております。

このたび、この農水省AgriFoodSBIRによる、総額467億2千万円のAgriFood分野のスタートアップ向けのファンド(Climate Techも助成対象 補助率100% 限度額 150億円)の第1回公募の採択結果が公表されましたので、こちらのブログでもお祝いさせていただきます。

第一回の公募で採択されたのは、いずれも、日本を代表する錚々たるAgriFood系のスタートアップばかりであり、この政策の支援を得て、いずれも数億円から数十億円の100%助成を得て、さらに農水省が選んだ腕利きの経営コンサルタントや技術コンサルタントやベンチャーキャピタリストや弁護士や弁理士や会計士などの専門家の支援も受けることになりますので、ますます成長されそうな気がします。小生が、浅学非才の身ながら、多少なりともこの政策に貢献できたのであれば嬉しく思います!

とりあえず、奥野弁理士は、本日は仕事納めの日でもあったので、午後8時ころまで仕事をして、無事に年内の特許出願などが完了したことを確認してから、オフィスのウォターサーバーで水をコップに入れて乾杯をしたようです。もっとも、今回は、やったぜ!いえーい!という感じではなくて、お国のために重責をなんとか果たしたという感じで安堵の気持ちのほうが強かったようです。

下記の点が、評価項目に入っておりましたので、奥野弁理士は、しっかりとしたビジネスモデル+知財戦略を立案されているかどうかを中心に審査・評価を行うように気をつけたようですね。

競争優位性
技術的優位性
・ 保有技術に新規性/先進性/独自性/優位性があり、 他社と比較して競争力が期待できるか。
・ 実証成果を活用したプロダクト/サービスの模倣障 壁を築くための戦略(知財戦略など)が適切に講 じられているか。
・ 技術的な模倣障壁を構築することができている か、もしくは実証を通して構築できる見込みがあ るか。

ビジネスモデルの優位性
・ ビジネスモデルに新規性/独自性/優位性があり、他社と比較して競争力が期待できるかターゲットとする市場において、売上の拡大や収益性の確保、シェアを獲得するための戦略が適切に講じられているか。

また、今回、第1回公募で採択された25件(29社)の中には、いくつか、SKIPのクライアントも含まれておりますが、コンフリクト=利益相反を避けるために、奥野弁理士は、SKIPのクライアントの審査からは外れたようですね。今回のお仕事は、日本のAgriFood分野のスタートアップの方向性を左右する公的な役職になりますので、公平・中立に対応しないといけないな・・・と考えて、そのように対応したようですね。

もっとも、奥野弁理士としても、日本中から集まった111件(139社)のAgriFood系のスタートアップの応募資料を審査・評価するのは、かなり大変だったようですね。その代わりに、AgriFood系のスタートアップの事業戦略、研究開発戦略、知財戦略、財務状況などについてめちゃくちゃ詳しくなれたのは、大きな収穫だったようですね。

2024年の4月以降に第2回公募を行うことを予定しておられるとのことなので、今回は応募しなかったAgriFood系のスタートアップの起業家の皆様は、ぜひ、来年度は応募してみてください!

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農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金)の第1回公募の採択結果について

農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業について、第1回の公募を8月25日から10月6日まで行ったところ、111件(139社)の応募がありました。
基金設置法人の公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会(JATAFF)に設置したプロジェクト採択・評価委員会において、書類審査及びヒアリング審査を行った結果、25件(29社)のプロジェクトの採択を決定し、農林水産省において承認しましたので、公表いたします。

なお、基金の残額の範囲内で、4月以降に第2回公募を行うことを予定しています。

1.審査結果
採択するプロジェクトは下表に示す通りです。

代表事業者名
(共同提案事業者名) テーマ※3 事業計画名※1 交付限度額(千円)※2
株式会社セツロテック A ニワトリ産業イノベーション:ゲノム編集を駆使したニワトリ鶏卵雌雄判別による資源有効活用とアニマルウェルフェア変革 539,161
リージョナルフィッシュ株式会社 A ゲノム編集などの育種技術を活用した革新的な水産物販売に向けた開発・実証 2,766,836
プラチナバイオ株式会社 A 食のバリアフリーを実現するアレルギー低減卵の社会実装 1,310,128
株式会社レグミン C 自律走行型ロボットを活用した農薬散布サービスの広域実証 442,855
株式会社プランテックス C 省人化・省資源化を実現するスマートインパクト植物工場の開発 1,204,659
MD-Farm株式会社 C 日本の農業を活性化する画期的なイチゴDX植物工場の実現 931,294
inaho株式会社 C 自動収穫ロボットビジネスを創出するための設計の汎化と圃場環境の最適化 423,244
AGRIST株式会社 C 自動収穫機による取得データに基づく農業収支最大化に関する大規模実証 1,098,661
株式会社豊橋バイオマスソリューションズ D 化学肥料およびGHG排出量削減に資する循環型社会システムの開発・実証 528,148
アクプランタ株式会社 D 世界の気候変動を生き抜く「シン・緑の革命」 1,108,373
サグリ株式会社 D 農業分野における温室効果ガス削減を目的とする衛星データを活用したカーボンクレジット創出・販売の大規模実証 914,982
株式会社TOWING D 高機能バイオ炭の大規模製造プロセスの開発及び大規模農地実証 1,248,484
株式会社Eco‐Pork F AIトレーナー搭載DX豚舎を用いた肥育豚統合管理システムの実証 618,355
株式会社マプリィ(elever labo合同会社) G 自律型の電動林業機械・高性能林業機械の普及 772,590
トレ食株式会社(株式会社リジェンワークス) I 食品廃材を活用した水産飼料向け魚粉代替原料の開発・実証 1,031,215
株式会社ライトハウス J AIを活用した電子オブザーバーシステムを起点とする漁獲関連データプラットフォームの開発 224,603
株式会社ノベルジェン K 日本産冷凍生食用カキの品質向上と輸出量増加を目的とした、カキの「短期肥育システム」と「流通DXプラットフォーム」の開発・実証 1,247,000
ZEROCO株式会社 K 革新的な鮮度保持技術を用いた農林水産物・食品輸出網の構築および効果実証事業 1,274,614
株式会社アルファテック L 穀物新規需要創出・脱炭素を実現する非晶化技術の実証と製品化テスト 657,648
コネクテッドロボティクス株式会社(株式会社FingerVision、株式会社Closer) M 食品産業における食品ハンドリング技術の革新と社会実装 2,474,913
インテグリカルチャー株式会社 N CulNet上清を活用した細胞性食品の生産システムの実証 1,870,429
株式会社AlgaleX N 今の美味しさを未来へ繋ぐ藻類発酵システム「Brewer24」の商用確立 1,106,339
ファーメランタ株式会社 N 植物由来の機能性素材開発基盤技術のスケールアップ実証 2,420,751
UMAMI UNITED JAPAN株式会社 N 日本の技術を活かした「植物性卵」の商用確立とグローバル展開 917,508
株式会社CO2資源化研究所 N CO2を原料としたUCDI水素菌由来代替タンパク素原料の製造および食品開発 2,481,915

1.採択に際して事業内容に条件を付しているものがあり、補助事業の実施はこの条件を満たすことを前提としております。

2.交付限度額は、各プロジェクトの実施期間(最長令和9年度まで)中に交付される上限金額を示しています。実際には、毎年度行われる事業の進捗評価や、実証段階が進む際に行われるステージゲート審査の状況次第で、交付される額が交付限度額に達しない可能性があります。

3.公募テーマは以下の通りです。

A:新たな育種技術を活用した画期的な農畜林水産物の開発・実証
B:品種開発力を強化するスマート育種事業の実証
C:農作業の自動化・効率化のための革新的スマート農業技術・サービスの開発・実証
D:温室効果ガスの削減等に資する農業技術実証
E:新たな飼料及び増産機械の活用等による革新的国産飼料生産・流通・利用技術の実証
F:スマート技術を利用した画期的畜産技術の実証
G:林業の自動化・遠隔操作化等に向けたスマート技術の実証
H:林産物高度利用の社会実装に向けた技術実証
I:持続可能な養殖業の発展に向けた魚粉代替原料の開発・実証
J:資源評価・管理から生産・加工・流通に至る革新的スマート水産技術の開発・実証
K:日本産農林水産物・食品の輸出を加速化する生産・流通システムの開発・実証
L:穀物の新規需要を創出する製造技術の実証
M:食品産業において活用するスマート技術の開発・実証
N:バイオ技術等(フードテック)の実証を通じた新しい食品・飼料の開発・実証

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てなわけで、いわゆるAgri Tech+Food Tech+Climate TechなどのDeep Tech®分野の知財戦略についても、どうぞ、気軽にSKIPにご相談を!個人的に、農業・林業・水産業・食品産業などの分野のスタートアップの知財戦略に対する解像度の高さ(田植えや稲刈りや下草刈りや炭焼きや薪割りや五右衛門風呂の沸かし方などに対する解像度の高さも!)には自信がありますので、ご安心ください。

注:Deep Techは、SK弁理士法人の登録商標です。

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