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IDS違反の基準を高めたCAFCオンバンク判決(Therasense, Inc. v. Becton, Dickinson and Company (Fed. Cir. 2011) (en banc) )

2011.06.07

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Therasense v. BD: En Banc Federal Circuit Raises Bar for Proving Inequitable Conduct and Unenforceability

実務的に超重要な判決です。
一言でいうと、ちょっとくらい文献をIDSで提出するのを忘れたって、IDS違反にはならないよ、という内容です。
IDS違反には、「騙す意図」が必要です。これについて、「出願人がある文献を知っていて、それが重要であることを知っていたはずであって、そして、それを提出しないと決めたということを立証しても、騙す意図が立証されたことにはならない。」と述べています。
Proving that the applicant knew of a reference, should have known of its materiality, and decided not to submit it to the PTO does not prove specific intent to deceive.” When circumstantial evidence is used, intent to deceive must be the “most reasonable inference.”
そうすると、「騙す意図」の立証は、かなりハードルが高いことになります。重要な文献はもちろん提出する必要がありますが、
これまでのように何でもかんでも機械的に提出して、米国代理人を儲けさせるのではなく、ちょっとだけ重要性を判断して、関連性が薄いものについては、社内資料として「この文献は関連性が薄いからIDS提出しないことに決定した」という記録を残しておくという実務も可能かも知れません。
もしくは、米国又は日本の特許事務所に積極的に意見を求めて、「重要性が低いと思います」というコメントをもらうのもいいと思います。その判断に基づいて提出しないことを決定した場合、「騙す意図」の立証が非常に難しいと思われるからです。

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