ブログ

DNAは特許の対象ではないとの米国司法長官の意見陳述書

2010.11.01

伊藤 寛之

US Government Argues in Court that Isolated Genes are Unpatentable
「DNAは特許の対象ではないとのDyk判事(CAFC判事)の考え」のエントリでも書きましたが、今年の3月にニューヨーク州の地裁で、DNAが特許の対象ではないという判決が出て、話題になりました。ニューヨーク州の地裁の判決自体は、拘束力・先例的価値が皆無であり、ただ一人の裁判官の裁判官の意見に過ぎないというものですので、騒ぎ立てるようなものではありません。
この判決は、CAFCに控訴されましたが、その控訴審において、米国司法長官が、「DNAは特許の対象ではないので、地裁判決が支持されるべきである」というamicus brief(第三者が裁判所に提出する意見陳述書)を提出しました。
この意見陳述書では、今回の案件と、過去の最高裁判決であるChakrabartyとを比較しています。
Chakrabartyでは、石油を分解する新規なバクテリアが特許の対象であるかどうかが争われ、”anything under the sun that is made by man”(人が作ったものであれば、太陽の下にある全てのもの)が特許の対象であるという有名なフレーズが述べられました。Wipipediaの詳細な解説 Diamond v. Chakrabarty
Chakrabarty事件では、自然界にあるバクテリアをそのまま持ってきたものではなく、自然界のバクテリアを遺伝子改変したものが特許の対象であるかどうかが問題になりましたが、今回ケースは、人間の体内にある遺伝子を分離しただけであり、人間が作った発明ではないので、特許をすべきではない、というのが米国司法長官の考えです。
CAFCがどのような判断をするのか、今後、目が離せなくなりました。

アーカイブ