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Preambleは構成要素になったりならなかったり(American Medical Systems, Inc. v. Biolitec, Inc.)

2010.09.14

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米国では、クレームは、一般に
A device for manufacturing a semiconductor material
comprising:
a component A,
a component B connected to the component A.
という感じで記載されます。
最初の「A device for manufacturing a semiconductor material」がpreambleと呼ばれます。
日本では、クレームに記載されている文言は全てクレームの構成要素と考えられますが、
米国では、preambleに記載されている内容は、構成要素になったりならなかったりします。
その基準は、2111.02 Effect of Preamble に記載されていますが、基本は、case-by-caseで考えられます。
一つの基準は、preambleの内容が発明に対して’necessary to give life, meaning, and vitality’
(生命・意味・活力を与えるのに必要)であるかどうかで判断されます。
つまり、preambleの内容が重要であれば構成要素であり、そうでなければ構成要素でないという、極めて分かりにくい基準によって、判断されます。
実務上は、preambleにはできるだけ何も書かず、body(comprisingの後の部分)に構成要素として記載するのが好ましいと思われます。
Patently-oにpreambleの解釈が地裁とCAFCとで分かれた事件が載っていました。
Preambles as Limitations
この事件では、地裁はpreambleの内容が重要であり構成要素であると判断した上で、被疑侵害品はpreambleの構成を有していないので非侵害であるという判断をしました。
これに対して、CAFCは、preambleの内容はあまり本質的に重要でないので、構成要素ではないと判断しました。
また、CAFCの3人のパネルのうちの一人は、preambleは常に構成要素とするべきであると主張しました。
preambleが構成要素になるかどうかは、地裁とCAFCで判断が分かれ、しかも、CAFCの内部でも判断が分かれてしまう非常に微妙な問題のようです。
USPTOは、一般に、合理的な範囲で最も広くクレームを解釈します。
2111 Claim Interpretation; Broadest Reasonable Interpretation
そうすると、USPTOでは、preambleはクレームの構成要素であると判断されにくいので、拒絶を受けやすくなります。
一方、裁判所では、必ずしもBroadest Reasonable Interpretationをしないので、USPTOよりは、preambleを構成要素と判断しやすくなるはずです。
そうすると、preambleに記載した要素は、審査段階では構成要素にならず、侵害段階では構成要素になるという最悪の結果になります。この観点からも構成要素は、なるべくbodyに記載する方がいいと思われます。

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