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マルチのマルチへの対応

2015.01.23

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米国、中国、韓国、台湾、ロシア、フィリピンでは、マルチのマルチは禁止されています。
それぞれの国について、マルチのマルチに対しては、原則として以下のように対応しています。
1.米国
マルチのマルチにすると、クレーム加算料が非常に高額になりますので、出願時又は国内移行時に必ずシングル従属にするようにします。
2.ロシア
国内移行後に実体審査の前に、マルチのマルチのみについての補正命令がかかります。余分が費用がかかるので、国内移行時にマルチクレームになるように補正します。
3.中国、韓国、フィリピン
中国、韓国、フィリピンでは、ロシアとは違って実体審査時に、マルチのマルチが指摘されます。国内移行時に自発補正を行ってマルチのマルチを解消させるということも可能ですが、弊所では、通常、以下の理由により、OA対応時にマルチのマルチを解消させることにしています。
(A)自発補正費用がかからない
国内移行時に自発補正費用についても原則として代理人費用がかかります(無料にしてくれる代理人もいます)。このような代理人の場合は、拒絶理由対応時についでにマルチのマルチも解消させるようにしたほうが費用が安くなることがあります。
(B)拒絶理由を残しておいてあげる
一度も拒絶理由通知を発令することなく特許にするのは、特許庁内の立場上、あまり好ましくないとされていることが多いようです。そのため、関連性が低い引例に基いて、こじつけの進歩性欠如が指摘されることがあります。マルチのマルチを残しておくと、審査官としては、形式上、拒絶理由を通知を発令することができますので、進歩性欠如が指摘されない事実上の一発特許になりやすくなるという考え方があります。
(C)引例を見てマルチクレームの構成を検討したい
請求項の数が多い場合には、マルチのマルチを解消させるための補正の方法がたくさん考えられる場合があります。マルチクレームを作成する目的の一つは、権利化前・後の補正・訂正の自由度を高めることですので、引例を見た後の方が適切なマルチクレームを作成しやすくなる場合があります。
4.台湾
台湾は、PCTには含まれないので、常に直接出願になります。そうすると、出願時に最初からマルチクレームにしておくという選択肢も考えられますが、弊所では、通常、上記(B)及び(C)の理由により、PCT出願と同じ内容で台湾出願をしています。

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