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グラフィックを用いた直感的説明

2014.09.03

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弊所では、意見書、刊行物提出書、無効審判請求書など、特許性について説明する文書では、可能な限り、多くのグラフィックを用いて説明するようにしています。理由は、単純で、その方が分かりやすいからです。
文書だけで説明しても、なかなか理解してもらえない場合でも、適切な図を作成して説明すると、簡単に理解してもらえることも多いです。
また、より重要なのは、グラフィックは、審査官・審判官に対して、こちらが希望する印象を直感的に与えることができることです。多くの人は、言葉で説明したことは、論理的に解釈(=疑いを持って解釈)しようとし、その説明が一見正しいように聞こえても、すぐには納得しないと思います。「言ってることは分かるんだけど、どうも附に落ちない」という感覚です。
こういう感覚を持って判断されてしまうと、なかなかこちらの言い分を理解してもらうことが難しいと思います。
一方、グラフィックによって視界に飛び込んでくるインパクトは強烈です。きれいな景色を見たときに、その景色が美しい理由を論理的に理解する前に、その景色が美しいという感情が先に発生します。
このような効果を利用して、審査官・審判官に対して、こちらの主張を理解してもらうために、弊所では、自分の主張を代表するグラフィックをできるだけ、適格に使用することを心がけています。
弊所が作成する文書の例を紹介したいのですが、機密の関係で見せることができないものが多いのが残念です。
無効審判→審決取消訴訟と進み、弊所完全勝利で特許無効が確定しましたので、この案をご紹介します。
書面内に証拠中の画像を適宜取り込んでいますので、審判官が目をそらすこと無く、書面を最初から最後まで読み進めることができるように工夫しています。また、あまり多くを語らずに、証拠自身に語らせるようにしています。重要なのは、私が語る内容ではなく、証拠が語る内容だからです。
訴訟段階でも同様です。裁判所でも、グラフィックを多用した文書を提出しますが、文句を言われることは全くありません。
また、グラフィックと同様に重視しているのが、表題の付け方です。口頭弁論陳述要領書では、以下のようなタイトルを付しています。このタイトルは、全て、各セクションで主張したい内容が簡潔に表現されています。
この狙いは、グラフィックとタイトルで、こちらの主張内容のポイントを審判官に頭に入れてもらった上で、詳細な内容を読んでもらうことです。新たな知識を導入する際にはその心構えが必要ですでの、グラフィックとタイトルで審判官にこちらの主張を理解するための心構えを作ってもらうことによって、こちらの主張が理解してもらいやすくなると考えています。
6 - 1 . ゾ ウ が ア ッ プ ル 社 の ロ ゴ マ ー ク で あ る リ ン ゴ を 鼻 で 加 え て い る モ チ ー フ
( 1 )「 ア ー ス ウ ェ ア 絶 滅 危 惧 種 」 の コ ン セ プ ト
( 2 ) ア フ リ カ ゾ ウ は 鼻 で リ ン ゴ を 掴 む
( 3 ) 甲 第 1 号 証 に は 「 Apple マ ー ク を う ま く 活 か し た 、 面 白 い 絵 柄 」 と の 解 説
6 - 2 . 一 つ の モ チ ー フ
また、グラフィックやタイトルは、自分自身の考えを整理するのに役立つことも多いです。適切なグラフィックやタイトルを設けることができない一番大きな理由は、自分自身で、自分の主張のポイントが分かっていないことです。ポイントが分からなくても、だらだらとした長文を書くことは可能ですが、そのような文章は、説得力がないことが多いです。グラフィックやタイトルを考えることを通じて、自分の主張の最も重要な点を整理することが可能です。

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