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最高裁判決「明細書に記載していてクレームアップしていない→意識的除外になる」

2017.04.25

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平成28年(受)第1242号 特許権侵害行為差止請求事件
平成29年3月24日 第二小法廷判決
判決文

要約すると、以下の通りです。
・明細書に記載していてクレームアップしていない→意識的除外になる
・それ以外の場合→意識的除外になるとはいえない。


そうすると,出願人が,特許出願時に,特許請求の範囲に記載された構成中の対
象製品等と異なる部分につき,対象製品等に係る構成を容易に想到することができ
たにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合であっても,それ
だけでは,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識
的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するとはいえない
というべきで
ある。

(2) もっとも,上記(1)の場合であっても,出願人が,特許出願時に,その特許
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に係る特許発明について,特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異な
る部分につき,特許請求の範囲に記載された構成を対象製品等に係る構成と置き換
えることができるものであることを明細書等に記載するなど,客観的,外形的にみ
て,対象製品等に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識し
ながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたといえるときに
は,明細書の開示を受ける第三者も,その表示に基づき,対象製品等が特許請求の
範囲から除外されたものとして理解するといえるから,当該出願人において,対象
製品等が特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したと解されるような行動を
とったものということができる。また,以上のようなときに上記特段の事情が存す
るものとすることは,発明の保護及び利用を図ることにより,発明を奨励し,もっ
て産業の発達に寄与するという特許法の目的にかない,出願人と第三者の利害を適
切に調整するものであって,相当なものというべきである。
したがって,出願人が,特許出願時に,特許請求の範囲に記載された構成中の対
象製品等と異なる部分につき,対象製品等に係る構成を容易に想到することができ
たにもかかわらず,これを特許請求の範囲に記載しなかった場合において,客観
的,外形的にみて,対象製品等に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代
替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたと
いえるときには,対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲か
ら意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情が存するというべき
である。

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