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商標法ではパクリは悪ではない(PPAP問題)

2017.02.03

伊藤 寛之

特許の世界では、他人が思いついた発明をパクって出願をすることは冒認出願となり、拒絶されます。
一方、商標の世界では、他人が思いついたネーミングをパクって出願をすることは、法律上、全く問題とされず、そのまま登録されます。

商標法では、素晴らしいネーミングであっても、ネーミングに創作的価値が認められておらず、単に、適当な文字列を選択したものであると判断されてしまいます。

このため、以下のような問題が起こります。
Aさんが、洗濯機にポンって投入するタイプの洗剤について「クリアポン」という名前を考えつきました。
Aさんは、この名前の洗剤を発売しました。まだ、それほど有名にはなっていませんし、商標登録出願をしていません
Bさんは、スーパーで「クリアポン」という名前の洗剤を見つけて、いいネーミングだと思い、すぐに商標登録出願をしました
Bさんの商標登録出願は、すんなりと登録され、Bさんが「クリアポン」を独占的に使用する権利が認められました。
これによって、Aさんが「クリアポン」という名前を使うことが違法になりました。

「クリアポン」を思いついたのはAさんです。
「クリアポン」を先に使用したのもAさんです。
しかし、Bさんが「クリアポン」を先に出願したので、「クリアポン」の権利はBさんのものになります。

これが商標法の考え方です。パクリが許されています。世間の常識からは、外れていると思いますが、そのような法律になっています。
PPAP問題が世間を騒がしているのも、商標法の考え方が世間の常識からずれているからだと思います。

おかしいとは思いますが、法改正の予定もないので、この法律に沿って行動するしかありません。
Aさんが「クリアポン」の権利を取得するには、Bさんよりも先に商標登録出願をするしかありません。

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