ブログ

消尽について

2012.07.31

SKIP

答えは、自分で、なんとか、しろ、と!
面白い記事があったので、コメントしました。
消尽の効果は、請求項をベースに考えるよりも、特許権者が販売した製品をベースに考えるのがいいと思います。
特許権者がメガネを販売します。このメガネは、特許権者が保有する100個の特許の権利範囲に含まれています。特許には、製法特許、レンズの材料の特許、レンズの構造の特許、鼻あての部分の構造の特許、メガネ全体の特許など色々なものが含まれています。しかし、特許権者がメガネを販売すると、全ての特許が同時に消尽するので、このメガネに対する権利行使は認められません。
一方、特許権者が販売したレンズを使って、第三者がメガネを製造した場合はどうでしょうか?レンズの特許は、使えません。メガネの特許は、レンズの部分以外に特徴がある特許であれば使えそうです。
このように考えると、
・特許権者が販売した製品そのものに対しては、全ての権利が消尽
・特許権者が販売した製品と特許の観点から見て同一物の範囲内にあるもの(例:特徴のあるレンズ+何の変哲もないフレームからなるメガネ)→全ての権利が消尽。
・特許権者が販売した製品に新たな特徴を付加。その特徴部分が関与する特許は、権利行使可能。
のように整理できます。
2つの請求項が同じ特許の中にあるか、別々の特許に分かれているかによって結論が分かれるという解釈は、明らかに不自然です。
糸と織物が同じ特許の中であれば、糸の販売によって織物の請求項も消尽するが、別々の特許になっていれば、織物の請求項は消尽しないという解釈を裁判所が採用するとは到底思えません。
その観点から、「消尽論の効果は特許権ごとに生じ、請求項ごとに生じるものではないと解する」の解釈は、適切でないと思います。

アーカイブ