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代表者でない出願人が審査請求できるか?

2012.05.26

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興味深い記事がありました。
「新米弁理士の『青本を一緒に読みませんか?」代表者以外の者が審査請求できるか?
この記事の結論は、「できない」です。その理由は、以下の通りです。
・審査請求ができるのは、出願人又は第三者
・代表者以外の出願人は、出願人としては審査請求できないし、第三者でもないから第三者としてもできない。


この記事では、「審査請求をすることができるのは出願人および第三者です」という前提で議論していますが、
この前提に疑問があります。
条文には「何人」と記載されていて、「出願人又は第三者」とは記載されていないからです。
条文に沿って考えれば、代表者でない出願人が「何人」に含まれるかどうかを検討する必要があります。
そもそも、法は、なぜ、「何人」に審査請求を認めているのでしょうか?青本のp179によると、「第三者だって、出願の決着を早くつけたい場合がある。」と記載されています。代表者でない出願人だって、出願の決着を早くつけたい場合があるのは明らかなので、この理由は、代表者でない出願人にも当てはまるのは明らかです。
そうすると、条文の制定趣旨及び文言に照らすと、代表者でない出願人が「何人」に含まれないという解釈をすることは容易ではないと思います(文言上は、「含まれる」としか解釈しえません。従って、「世界中の全ての人間に審査請求をする権利を与える。ただし、代表者でない出願人は除く」という不自然な解釈に妥当性を持たせる根拠が必要です。)。
上記記事は、青本中の「「何人」の中には、出願人及び第三者を含む。」という記載に依拠していますが、この記載は、代表者を定めている場合を想定した記載かどうか不明なので、この記載のみを根拠に、「出願人としては審査請求できないし、第三者でもないから第三者としてもできない」という結論を導くのは根拠が弱いと思います。

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