ブログ

商標法で詐欺の行為の罪が適用された例

2010.11.11

SKIP

特許庁にウソの納品書で商標存続を偽装 会社社長ら逮捕 初摘発
商標登録存続のため特許庁に虚偽納品書、電機メーカー社長ら逮捕
 商標法には、以下の条文があります。嘘をついて、商標権を取得したり、商標権の取消をまぬがれたりしたら、刑務所に入れられるという条文です。これまでは、一例も適用された例がなかったので、上記ニュースが初めての例です。この事件では、取消審判において、偽造証拠を提出したことがこの「詐欺の行為の罪」に該当されたと判断されました。
 逮捕者が出たことにかなり驚きましたが、記事を読むと商標権者が1800万円の和解金を請求していることから、行為態様が悪質であると判断されたのだと思います。


(詐欺の行為の罪)
第79条 詐欺の行為により商標登録、防護標章登録、商標権若しくは防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録、登録異議の申立てについての決定又は審決を受けた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。


商標法には、これ以外にも、商標権侵害の罪や虚偽表示の罪があります。両方とも刑務所に入れられる可能性があるものである。商標権侵害は、偽ブランド品の販売などですので、頻繁に逮捕者がでています。虚偽表示の罪とは、商標登録されていないのに、「登録商標」と記載することです。外国で登録されていて日本で登録されていない商標に対して「登録商標」と記載すると、虚偽表示になって捕まる可能性があります。怖いですね。。。
(侵害の罪)
第78条 商標権又は専用使用権を侵害した者(第37条又は第67条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(虚偽表示の罪)
第80条 第74条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

(虚偽表示の禁止)

第74条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
1.登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
2.指定商品又は指定役務以外の商品又は役務について登録商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為
3.商品若しくはその商品の包装に登録商標以外の商標を付したもの、指定商品以外の商品若しくはその商品の包装に商品に係る登録商標を付したもの又は商品若しくはその商品の包装に役務に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したものを譲渡又は引渡しのために所持する行為
4.役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標以外の商標を付したもの、指定役務以外の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に役務に係る登録商標を付したもの又は役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に商品に係る登録商標を付したものであつて、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したもの(次号において「役務に係る虚偽商標登録表示物」という。)を、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
5.役務に係る虚偽商標登録表示物を、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
特許法などにも同様の条文があります。これまで、この罰則は一度も適用されたことがありませんが、一応、このような条文があることは認識しておいた方がいいでしょう。
(侵害の罪)
第196条 特許権又は専用実施権を侵害した者(第101条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 
第196条の2 第101条の規定により特許権又は専用実施権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(詐称の行為の罪)
第197条 詐欺の行為により特許、特許権の存続期間の延長登録又は審決を受けた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
(虚偽表示の罪)
第198条 第188条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
(偽証等の罪)
第199条 この法律の規定により宣誓した証人、鑑定人又は通訳人が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述、鑑定又は通訳をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。
2 前項の罪を犯した者が事件の判定の謄本が送達され、又は審決が確定する前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
(秘密を漏らした罪)
第200条 特許庁の職員又はその職にあつた者がその事務に関して知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(秘密保持命令違反の罪)
第200条の2 秘密保持命令に違反した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
(両罰規定)
第201条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
1.第196条、第196条の2又は前条第1項 3億円以下の罰金刑
2.第197条又は第198条 1億円以下の罰金刑
2 前項の場合において、当該行為者に対してした前条第2項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
《追加》平16法120
3 第1項の規定により第196条、第196条の2又は前条第1項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
第202条 第151条(第71条第3項及び第174条第1項から第3項までにおいて準用する場合を含む。)において準用する民事訴訟法第207条第1項の規定により宣誓した者が特許庁又はその嘱託を受けた裁判所に対し虚偽の陳述をしたときは、10万円以下の過料に処する。
 
第203条 この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、10万円以下の過料に処する。
 
第204条 証拠調又は証拠保全に関し、この法律の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から書類その他の物件の提出又は提示を命じられた者が正当な理由がないのにその命令に従わなかつたときは、10万円以下の過料に処する。

アーカイブ