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ライバル企業の商品にそっくりな商品を作ってもいい?

2010.07.13

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ライバル企業の商品にそっくりな商品を作ってもいいか、という相談を受けることがあります。
そっくり商品を作ることは、よくないことであるという印象がありますが、原則として、そっくり品を作ることは禁止されていません。例外的な場合にのみ、法律で禁止されています。
つまり、
 原則:そっくり品はOK
 例外:特許・実用新案・意匠・商標・著作権・不正競争で保護される場合は×
となります。
特許・実用新案・意匠・商標は、特許庁に登録されて初めて権利が発生するものですので、IPDLで権利の存在を確認して、権利が存在していなければ、特許・実用新案・意匠・商標がそっくり品の妨げになることはありません。
著作権が問題になるかどうかは、非常に難しいものです。そっくり品が漫画のキャラクターに関するものであれば、おそらくアウトでしょう。一方、そっくり品が実用品の形状に関するものであれば、著作権が及ぶ可能性が非常に低いと思われます。線引きは非常に難しいので、個別的な判断が必要です。
以下の論文が参考になります。
実用品のデザインの保護についての詳細な考察がされた論文
http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200601/jpaapatent200601_031-038.pdf
また、不正競争については、不正競争防止法の2条1項1号~3号が問題になります。
 1号:周知な商品等表示で混同を引き起こすもの
 2号:著名な商品等表示
 3号:デットコピー品で国内販売開始から3年以内のもの
商品等表示とは、形を見ればそれって分かるようなものです。iPhoneの形を見れば、iPhoneって文字が書かれていなくても、iPhoneだって分かりますよね。そんな感じです。
3号は、そっくり品に対しては容易に適用されますので、非常に強力です。ただし、販売開始から3年経てば、もう何もできません。長期な保護には意匠権が必要です(存続期間は登録から20年です)。
これ以外にも、極悪な場合には、民法の709条が適用される場合が一応は考えられ、その場合は、そっくり品の製造販売は×です。以下の論文によると、そのような例が1件だけあるそうです。単にそっくり品を作っただけではなく、特殊な事情が関与しているようです。
模倣品に対する意匠権,商標権,不正競争防止法第2条第1項第1号,同2号,同3号,著作権および民法第709条の射程距離の研究
http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200707/jpaapatent200707_054-064.pdf
結論としては、上記のような種々の知的財産が関係する可能性を考慮した上で、どれにも該当しない場合には、堂々とそっくり品を製造販売することができるといえるでしょう。

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