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日本→PCT、台湾出願→国内移行の全体の流れ

2013.11.01

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国内での権利化、外国での権利化のためのルートは、複数存在しており、複雑です。
典型的なケースを用いて、流れをご説明します。
(1)日本出願→台湾・PCT出願→PCT国内移行
このパターンでは、日本出願から12ヶ月以内に台湾出願・PCT出願を行います。
次に、日本出願から30ヶ月以内にPCT出願の各国移行を行います。
台湾出願・PCT出願を12ヶ月以内に行う理由は、この期間内であれば「パリ優先権」の効果によって
日本出願の出願日を基準として新規性・進歩性の判断が行われるためです。
日本出願から12ヶ月が経過しても出願が公開されるまでは、台湾出願・PCT出願を行うことは可能です。
しかし、この場合は、「パリ優先権」の効果が得られませんので、新規性・進歩性の判断において不利に働きます。
日本出願から18ヶ月が経過したときに、日本出願、台湾出願、PCT出願が公開されます。但し、PCT出願が日本を指定国に含めている場合は、日本出願は公開されません。
例えば、日本出願から12ヶ月以内に、日本を指定国に含むPCT出願をしたとします。この場合、日本出願から18ヶ月経過後にPCT出願が公開されます。PCT出願が公開された後に、台湾出願が必要であることに気がついても、台湾において、無効理由を有さない権利を取得することはできません。なぜなら、PCT出願の公開によって、発明の新規性が失われているからです。
なお、PCT出願が公開されている事実を隠して、台湾出願を行い、台湾の審査官がPCT出願に気がつかないことを期待することは可能です。台湾の審査官は日本語を読めない人も多いでしょうから、PCT出願に気付かずに特許にしてしまう可能性もあると思います。このようにして得られた特許権は、無効理由を内在しているので、実際に権利行使に活用すると、色々な問題が生じる可能性がありますが、ある程度の他社牽制効果はあるかも知れません。

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