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【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®ヒストリー 有人宇宙飛行ロケットや潜水艇の発明者 ピーター・マドセン(政府の力を借りずに有人宇宙飛行の成功を目指したが、女性を手にかけたことで終身刑に科されてしまった恐怖のサイコキラー)

じっくりヒストリー IP HACK

2025.08.08

AKI

私たちの身の回りには非常に多くの画期的なモノや手法であふれています。これらはすべて先人たちのアイデアによって実用化された数多くの発明のおかげです。歴史上、多くの発明家たちがさまざまなものを改良したり、生み出したりしてきました。しかし中には、優れた功績を残しながら人としてあるまじき行為に及んだ人物も存在します。かつて、デンマークでは民間団体のコペンハーゲン・サブオービタルズは、政府の力を借りずに有人宇宙飛行の成功を目指していました。もしこの計画が成功すれば、アメリカやソ連、中国に次いで世界で4番目に有人宇宙飛行に成功した国家になるはずでしたが、ある1人の行動によってその希望は断たれてしまいます。その人物こそ、コペンハーゲン・サブオービタルズの設立者であり、殺人の罪で裁かれたピーター・マドセンです。彼はロケットや潜水艇などの発明で功績を上げながら、女性を手にかけたことで終身刑に科されました。今回はそんなピーター・マドセンの生涯を振り返っていきましょう。

ピーター・マドセンの前半生(民間宇宙団体であるコペンハーゲン・サブオービタルズを設立して活躍する)

ピーター・マドセンは1971年、デンマークで生まれました。民間宇宙団体であるコペンハーゲン・サブオービタルズを設立し、航空宇宙工学の専門家として活躍しました。彼の実力は折り紙付きであり、民間の宇宙航空会社であるRML Spacelab社を率いて突出した才能を発揮していました。

彼の発明したロケットが完成し、打ち上げに成功すれば、彼は政府の力に頼らず民間の技術や資金のみで有人宇宙飛行に成功した世界初の人物となり、デンマークはアメリカ・ソ連・中国に続いて有人宇宙飛行を行った世界で4番目の国家となるはずでした。

ロケットのほか、マドセンは潜水艇の設計も手がけました。「アート」と称したボランティアベースのプロジェクトを率いて実際に成功させることから自身のことを”art engineer(アートエンジニア)”と自称していました。2008年には自作されたものの中では史上最大の規模を誇る「ノーチラス号」を建造したことで、世界的に名前が知られるようになりました。しかしこのノーチラス号をめぐって、世界を震撼させる事件が起こることになるのです。

ピーター・マドセンの後半生(女性ジャーナリストを殺害した容疑で逮捕されて終身刑になる)

2017年8月、ノーチラス号の沈没事故が発生しました。同時に、ノーチラス号を取材に訪れた女性ジャーナリストが行方不明となり、後に胴体だけ見つかるという事件が発生しました。捜査の結果、容疑者としてマドセンが浮上し、彼は逮捕されました。

当初、マドセンは女性がノーチラス号の中で事故にあって死亡したと供述していました。ところがその後の捜査により、女性の死因が斬首によるもの、そしてマドセンが女性の遺体を遺棄してノーチラス号を沈没させたという疑いが出てきたのです。

デンマーク警察はマドセンの作業場に家宅捜索に入りました。現場で押収したハードディスクには、マドセンが女性を拷問にかけ、首を切り付けて殺害した動画が収められていました。この動画が揺るがぬ証拠となり、マドセンは終身刑を受けました。

またこの時期、コペンハーゲンで発生したピル治験女性バラバラ殺人事件が発生しており、マドセンの事件との関連性が疑われました。日本人女性が犠牲となり、現地メディアや日本メディアでも報道されました。こちらは十分な証拠がなく、捜査が難航したため未解決事件のひとつとなっています。

今回はデンマークの発明家で、殺人を犯してしまったピーター・マドセンの生涯を振り返りました。歴史的な快挙を目前にしながら、凶行に及んだことは残念でなりません。技術的な功績が素晴らしくても、人の命を奪うことは絶対にしてはならない行為です。

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