経済産業省及び特許庁は、2026年7月1日より「標準戦略対応審査」の試行を開始することを発表しました。
「標準戦略対応審査」では、標準化を目指す技術に関する特許出願の審査について、標準開発の進捗に合わせて出願人の希望するタイミング(審査請求から最大24か月後)で着手されます。
標準戦略対応審査の手続
手続の流れ
早期審査の手続は、「早期審査に関する事情説明書」を提出し、「早期審査に関する通知書」において対象となるか否かが通知され、対象であれば速やかに審査が開始される、という比較的簡便でわかりやすいものとなっています。一方で、標準戦略対応審査では、事前手続に加えて、審査着手前の面接も予定されており、早期審査の申請に比べると少し複雑で負荷の高いものといえるかもしれません。
- 標準戦略対応審査を申請するための事前手続(毎年7月に行われる募集に応募)
- 申請可能件数の通知受領
- 審査請求日から起算して5開庁日以内に(1)(2)を提出
(1)「申請書(審査の着手希望時期を記載)」+「申請書に記載した特許出願に関する技術について標準化活動を行っていることを示す書類」
(2)特許出願ごとに標準戦略対応審査の申請をする旨の上申書 - 審査の着手予定月(原則、審査の着手希望時期と同一)のメール通知
- 着手予定月の4か月前に、出願人側担当者へ、特許庁側の取りまとめ担当者の情報をメールで通知
- 着手予定月の1か月前を目安に面接(必要に応じて、可能な限り面接までに標準の内容に対応した権利範囲となるよう請求項を補正)
- 審査着手(着手予定月以降できる限り速やかに)
なお、上申書の【上申の内容】欄の記載例によれば、着手希望時期について、「審査請求から12か月以上24か月以内のいずれかの年月」を指定することが示されています。
手数料
標準戦略対応審査の申請に際しては、手続に係る特許庁への手数料は不要です。
初回の応募期間
令和8年10月1日から令和9年9月30日までの1年間の申請希望者は、事前手続として令和8年7月1日(水曜日)~令和8年7月31日(金曜日)の応募期間に応募申込書をメールに添付して提出する必要があります。
標準戦略対応審査の位置付け
早期審査制度と遅延審査制度が両方設けられ、特許審査のタイミングを柔軟にコントロールすることができる国もあります。例えば、韓国など。
日本の特許審査においては、早期審査、スーパー早期審査、特許審査ハイウェイ(PPH)など、審査を早める制度は比較的充実しているといえます。一方で、出願人の事業戦略等に合わせて審査着手時期を後ろ倒しに調整する制度は、これまで限定的であったと考えられます。強いて挙げるならば、審査・審理の効率上の観点から設けられた「原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止」ぐらいでしょうか。
「標準戦略対応審査」は、標準化と知的財産(知財)の一体的な活用を目的として設けられたものです。そのため、一般的な遅延審査制度・審査猶予制度と同一視することはできませんが、標準化に関連する出願に限って、審査着手時期を出願人の戦略に合わせて調整できる制度として、審査タイミングの柔軟化という側面を有するものといえます。今後の「標準戦略対応審査」の活用、そして遅延審査制度の整備動向が注目されます。
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