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アルゼンチン特許制度の改正(決議142/2026):PPH終了後の早期審査制度の拡張

審査請求 外国出願 特許 アルゼンチン

2026.05.26

坪 龍志

アルゼンチンでは、PPHに代わり外国特許を活用した早期権利化制度(決議56/2016)が運用されており、2026年改正により審査途中でも申請可能となりました。

💡 本記事のポイント

  • アルゼンチンではPPHは2021年に終了
  • 外国特許を活用した独自制度(決議56/2016)が運用中
  • 2026年改正で審査途中でも申請可能に
  • 外国特許を基礎とした早期権利化が可能

1. 制度の変遷(全体像)

現在のアルゼンチンにおける早期権利化の手段は、PPHの枠組みではなく外国特許を活用した国内制度が用いられています。

🧭 アルゼンチンの早期審査制度の導入と変化
  • 2016年:決議56/2016(外国特許活用制度)導入
  • 2017年:PPH試行開始
  • 2021年:PPH終了
    📄 日アルゼンチン特許審査ハイウェイ試行プログラムの終了について
    日本国特許庁とアルゼンチン産業財産庁は、特許審査ハイウェイ試行プログラムを2017年4月1日より実施していましたが、アルゼンチンの国内制度に基づく日本からの出願の早期権利化が可能であることから、2021年12月31日に本試行プログラムを終了いたします。
  • 2026年:改正(決議142/2026)

2. 決議56/2016(外国特許活用制度)

制度の概要

日本を含む海外特許庁において特許が付与された出願に対応するアルゼンチン出願について、早期に権利化を行う制度が利用可能です。

手続の概要

主な提出物は、①「アルゼンチン出願の請求項」、②「海外特許庁において特許付与された請求項とが一致する証拠」、③「その翻訳文」の手続きが必要とされています。

📄 決議56/2016に基づく早期権利化制度の申請の手続き
決議56/2016に基づく申請を行う際には、アルゼンチン出願の請求項と海外特許庁において特許付与された請求項とが一致する証拠とその翻訳文を提出し、所定の手数料を納付する必要があります(2021年12月時点で、手数料は9,840アルゼンチンペソ)。

審査運用

外国特許庁における審査結果を前提として取り扱われるため、通常の実体審査に比べて簡略化された審査運用が採られています。

📄 決議56/2016に基づく早期権利化制度の主な特徴
決議56/2016の対象となったアルゼンチン出願に対しては、アルゼンチン産業財産庁にて新規性、進歩性及び産業上の利用可能性等の特許要件について判断されることなく、申請から60日以内に審査結果が通知されます。

3. 2026年改正とその影響

従来制度では、実体審査開始前に限り申請可能とされていましたが、審査途中(査定前まで)でも申請可能に改正されました。

これにより、以下の点で実務が改善されています。

項目 改正前 改正後
申請タイミング 審査開始前のみ 審査途中でも可能
外国特許成立後の対応 不可(タイミング次第) 柔軟に対応可能
実務柔軟性 低い 大幅に向上

表:改正前後の比較

すなわち、今回の改正により、外国特許成立のタイミングに応じて制度利用が可能となり、戦略的な活用がしやすくなりました。

🧭 改正により活用可能となったケース例
  • 外国特許の成立が遅れている案件
  • 審査途中で戦略変更が必要な案件
  • 権利化タイミングを調整したい案件

4. まとめ

アルゼンチンでは、PPHに代わり外国特許を活用した国内制度(決議56/2016)が早期権利化の主要手段となっています。

2026年改正により、審査途中でも制度利用が可能となり、外国特許成立のタイミングに応じた柔軟な出願戦略がとりやすくなりました。

今後は、外国特許との関係を踏まえた上で、本制度の活用を検討することが実務上重要となります。

❓ よくある質問

PPHは現在使えますか?
いいえ。日本‐アルゼンチンPPHは2021年12月で終了しています。現在は決議56/2016制度が中心です。
外国特許はどの国でもよいですか?
日本を含む外国特許が対象となりますが、「アルゼンチン共和国と同様の特許要件適用基準を持っていること」等の要件もありアルゼンチン代理人に個別に確認することが推奨されます。
📄 決議56/2016 第2条(日本語仮訳)
第2条 特許庁は、法律第24481号(1996年改正)に従って出願された発明特許出願であって、パリ条約第4条A.1の規定に基づく優先権を主張していない出願について、当該発明特許がアルゼンチン出願の出願日より後に外国で付与されたこと、国内出願の出願より後に当該発明の公報が発行されたこと、並びに特許を付与した庁が実体審査を行ったこと及びアルゼンチン共和国と同様の特許要件適用基準を持っていることを確認した場合には、法律第24481号(1996年改正)第4条に定める要件が適切に遵守されているとみなすこと、及び国際調査を考慮することを許可される。
審査途中でも使えますか?
2026年改正により、査定前であれば審査途中でも申請可能となりました。

※本記事は一般情報であり、個別案件についての法的助言を行うものではありません。具体的な対応については専門家にご相談ください。

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