ブログ

化学関係の発明で「実施例」を「参考例」に変更させる実務について審査基準室に相談してみました。

2014.09.03

SKIP

長年の疑問を審査基準室にぶつけて見たのですが、「ケースバイケース」という回答で、具体的な回答はありませんでした。記載不備の実務と査定後の分割出願の実務が整合していないので、特許庁として態度を明確にすべき論点だと思いますが、残念です。
この点の対応策としては、例えば、実施例1を参考例1に補正する際に、「参考例1は、出願当初明細書の実施例1であり、請求項1の範囲に整合させるように参考例としたものである。」という感じで記載しておくのがいいかも知れません。
【ご質問の内容】
化学分野の発明で、請求項1を減縮した結果、実施例1~5のうち、実施例1が請求項1の範囲から外れる場合があります。このような場合に、実施例1を「参考例1」にしなければ、記載不備の拒絶理由が打たれる場合があると思います。
一方、特許査定後の分割出願は、特許査定時の明細書の範囲内で行う必要があります。
そうすると、一旦、「実施例1」を「参考例1」にしてしまうと、出願当初請求項1の範囲での権利化を分割出願において目指すことが不可能になってしまうという懸念があります。「参考例1」を「実施例1」にすることが分割出願の要件を満たさないことになる可能性があるからです。
従って、記載不備の実務と査定後の分割出願の実務が整合していないと思います。
 以下の点について教えて下さい。
・実施例1を「参考例1」にしなければ、記載不備になるのでしょうか?
・「参考例1」を実施例1にすると、査定後の分割出願の要件を満たさないことになるのでしょうか?
・上記状況では、どうような実務が適切でしょうか?
【回答】
実施例1を「参考例1」にしなければ記載不備になるか否かは、最終的にケースバイケースであり、どちらとも回答いたしかねます。実施可能要件については、特許・実用新案審査基準第1部第1章3.2に記載されておりますので、適宜ご参照ください。
「参考例1」を実施例1にしても査定後の分割出願の要件を満たすか否かは、最終的にケースバイケースであり、どちらとも回答いたしかねます。「参考例1」を実施例1にすることで新たな技術的事項が導入される場合には、分割出願の実体的要件を満たしません。
前述のとおり、いずれもケースバイケースになりますので、適切な実務として特定の手法をご紹介することは、困難です。申し訳ありませんが、ご理解頂けますと幸いです

アーカイブ