ブログ

商標登録出願しないが故のトラブル

2013.02.26

伊藤 寛之

面白い記事を見つけたので、コメントします。
商標登録出願したが故のトラブル
この記事で指摘しているようなトラブルが実際にどれくらい生じているのかはよく分からないのですが、出願をすることによるリスクよりも、出願をしないことのリスクの方が圧倒的に大きいはずです。
ある商売をしている人が、ある商標を長年使用していたとしても、それが全国的に周知でない限り、他人がその商標を先に出願することは自由であり、無効理由なく登録されてしまいます。
その場合の対策としては、お金を出してその商標を買い取るか、その商標の使用を止めるかのどちらかになります。先使用権という制度も一応はありますが、その要件は厳格で簡単には認めてもらえませんし、訴訟で争う必要になる場合もあります。
商売人としては、お金を払うのも商標を変更するのも嫌でしょう。そのようなリスクを回避するための最も安価な方法が商標出願であり、自分でやれば総費用は10万円もかかりません。それだけの費用を支払えば、自分の商標を10年間守ることができます。
商標を出願することのリスクとして、商標登録を潰しに掛かられたときの時間的、金銭的損失を挙げていますが、お金をかけて守る必要がなければ、無効審判請求が請求されても、無視すればいいんです。そうすれば、お金も時間もかかりません。
実際に、弊所のクライアントで、中国で長年使用していたが商標登録をしていなかった商標が他人に先に取得されて、使えなくなってしまった例があります。弊所のアドバイスとしては、商売で使用する商標は何も考えずに全て出願です。他人に先に取得されることのリスクの大きさに比べると、商標出願をすることのリスクははるかに小さいからです。

アーカイブ