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もやもや考える・・・・『次の元号』は商標登録できるか?

2018.06.26

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引き続き『元号』の商標登録について考えています。もやもや。

『現元号』
商標審査基準に商標法3条1項6号に該当すると明示
→使用により識別力を有する場合に限り登録可能

『旧元号』
特許庁Q&Aにおいて『現元号』に順ずると発表
“過去記事: 平成”は商標登録できるようになる? ついに特許庁正式見解
→使用により識別力を有する場合に限り登録可能

さて、ここで『次の元号』の商標登録ができるのか、という疑問が出てきました。

『次の元号』の発表時期は明確にされていませんが、今のところ改元の少なくとも1ヶ月前という説が濃厚のようです。
そうなった場合、「発表してすぐに『次の元号』の商標登録出願をすれば、改元前にすべりこみで商標登録されるのでは?」と考える出願人も出てくるかもしれません。およそ200年ぶりの生前退位なので、商標法が制定されてから初めての事例になるのではないでしょうか。

さて、先日の特許庁Q&Aには『現元号』と『旧元号』について具体的に例示されていましたが、『次の元号』については例示されていません。
(もっとも、Q&Aには、“元号(現元号であるか否かを問わない。)”と記載されているので、『次の元号』も当然に『元号』に含まれると考えるのが素直ですが・・・・元号法を参照してみても、『元号』の定義は規定されていませんので、『次の元号』は『元号』に含まれないという方向性で争う出願人が出てくるかもしれません。考えすぎ?)

仮に、こういう出願人が出てきた場合、特許庁はどのように処理するのでしょうか。
と思ったら、意外と解決方法はシンプルでした。

第3条に該当するか否かは、査定時(又は審決時)に判断されると解されます。

つまり、2019年4月1日に『次の元号』が発表されたとして、当日に商標登録出願がされたとしても、査定が2019年5月1日より後になるのであれば、査定時には『現元号』になっています。
そこで、特許庁は、第3条第1項第6号に該当するとして、堂々と拒絶査定することができます。

ということで、「『次の元号』が発表されたら誰より早く商標登録出願してやるぞ」という作戦は、おそらく成功しないでしょう。

『次の元号』の定義付けについての微妙な言及を避けて、特許庁内の運用で処理しようとしたのかな・・・・なんて推測しています。(やっぱり考えすぎ?)


引用: 元号法 昭和五十四年法律第四十三号
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。


by kh

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