米国特許出願:USPTOが新たなパイロットプログラム「Applicant ‘Pre-Docketing Notice’ pilot program」を発表
2026.06.03

坪 龍志
米国特許商標庁(USPTO)は、新たに「Applicant Pre-Docketing Notice」パイロットプログラムを開始しました。本プログラムは、係属中の特許出願において実体審査のために審査官へ割り当てられる予定日の約3ヶ月前に、出願人に対して「Pre-Docketing Notice(審査着手前の通知)」を行うものです。
本通知により、出願人は審査着手時に関して透明性が向上するほか、実体審査開始前に権利化へ向けた戦略の見直し、又は出願の維持・放棄の見直しの機会を得ることができます。
- 実体審査開始(審査官への割り当て)予定の約3ヶ月前に事前通知が届く。
- 通知への応答は要求されず、アクションを起こさなくても通常の審査へ進む。
- 予備補正(請求項の見直し)、情報開示陳述書(IDS)の確認等の審査に向けた準備の機会となる。
- 不要出願の整理(放棄による費用返還)の機会となる。
1. パイロットプログラムの基本情報
本プログラムは、2026年5月29日付で配信されたPatent Alertにて発表されました(Patent Alert:
Applicant ‘Pre-Docketing Notice’ pilot program)。「the United States Patent and Trademark Office (USPTO) is sending an informational “Pre-Docketing Notice” …」とあり、すでに運用が開始されています。
対象となる出願と通知のタイミング
本プログラムの対象となるのは、係属中の実用特許の通常出願(非仮出願)”pending utility nonprovisional patent applications”です。通知の時期は、出願が実体審査のために審査官に割り当てられると予想される時期の約3ヶ月前とされています。
通知内容
本プログラムによる通知には、審査が間もなく開始されることを出願人に知らせることに加えて、発明者や所有権などの出願関連情報確認(必要に応じて修正・更新)、審査を円滑かつ効果的に進めるための手順についても含まれるとのことです。
2. 通知を受領した出願人のアクション
出願人の応答は必須ではなく応答しない場合でも通常の審査へ進みます。一方で、審査を円滑かつ効果的に進めるために以下の対応をすることが期待されています。
書誌的事項の確認と審査効率化の検討
発明者や所有者(inventorship and ownership)などの出願関連情報の確認、および必要に応じた修正・更新が促される。また、予備補正(preliminary amendment)、情報開示陳述書(IDS)、またはその他の書類の提出など、審査の効率と有効性を高める(論点の明確化や予見可能な拒絶の回避)ための措置の検討が推奨されています。
- 発明者や所有権などの出願関連情報確認(必要に応じて修正・更新)
- 情報開示陳述書(IDS: information disclosure statement)の補充
- 予備補正(preliminary amendment)の検討
- その他問題点の明確化、予見される拒絶回避のための書類提出
権利化放棄の選択と費用返還
事業戦略の変化等により権利化を希望しなくなった出願人は、明示的放棄(express abandonment)の迅速な手続きの機会とすることができます。明示的放棄を選択した場合、37 CFR 1.138(d)の条件(MPEP 711.01:III. TO OBTAIN REFUND OF SEARCH FEE AND EXCESS CLAIMS FEE)を満たすことで、調査費用(search fee)および超過クレーム費用(excess claim fees)の返金を受けられる可能性があります。
3. USPTOが本プログラムを実施する狙い
審査の効率化と未審査出願の整理
USPTOは本パイロットプログラムにおいて、審査割り当て前の事前通知が出願人の意思決定や未審査出願の在庫(application inventory)に与える影響を評価するとしています。また、審査割り当て直前の予備補正が審査効率を向上させるかどうかの評価など、審査の品質および効率への影響についても検証の対象としています。
❓ よくある質問
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