もっと恐怖な外国企業の実用新案
2012.03.16
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ある日の知財部での会話(もちろんフィクションです)
慎重派の知財部員と、イケイケの事業部長との会話です。
「部長、新事業立ち上げのための、他社特許調査が終わりました。」
「どうだった?」
「実用新案1件を除いて、弊社製品をカバーする他社特許はありません。」
「よくやった。それじゃ、事業を進めるとするか。」
「ちょっと待って下さい。実用新案があるので、事業化は慎重に検討する必要があります。」
「実用新案って、あの無審査で登録になるやつだろ。しかも、なかなか権利行使ができないって聞いているぞ。
そんなの、気にしていたら事業なんて始められんぞ。ほっとけほっとけ。」
「今回は、ちょっと事情が違うんです。」
「何だ?」
「権利者が中国企業なのです。」
「会社の国籍なんて関係ねえだろ。」
「中国では、無審査登録の実用新案に基づく訴訟が多発しています。」
「中国には権利行使による損害賠償の規定はないんだろ。だから訴訟が起こるんだよ。日本には、損害賠償の規定があるから、権利行使なんでできっこねえよ。権利行使してきたら、逆に返り討ちにしてやる。」
「そこが問題なんです。法律上は、もちろん外国企業に対しても、損害賠償請求は可能です。ただ、彼らが日本に営業所や銀行口座をもっていなかったら、損害賠償の判決をもらっても、お金を取れない可能性があるんです。」
「日本の裁判所に出してもらった判決は、中国で執行することはできないのか?」
「どうやら判決の相互執行はなされないようです。」
「それじゃ、中国企業の実用新案は、無視したらヤバイかもな。」