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「VISTRON」と「WISTRON」は非類似

2012.09.27

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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259911.html
3 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人は、2001年台湾において設立された「ノート型パソコン等の情報通信機器」などの受注生産企業であること(甲第3号証)、2008年ころからノート型パソコンや液晶テレビの受注生産企業として台湾のトップクラスであること(甲第5号証ないし甲第8号証)、複数の外国雑誌(その発行日は本件商標の出願日の前後を含む。)に掲載されたこと(甲第9号証ないし甲第17号証)及び日本企業からの発注を受けたこと(甲第8号証)をうかがい知ることができ、申立人は、我が国において前記製品の製造業者の間で該製品の受注生産企業としてある程度知られているといって差し支えない。
しかしながら、一般に、受注生産される製品は、受注生産企業の商標は付されず、その発注企業の商標が付されて市場に流通するものであり、かつ、申立人提出の証拠によっては、引用商標が申立人の業務に係る商品に使用されている事実を確認することができなかった。
そうすると、引用商標は、我が国のノート型パソコンや液晶テレビ製造業者の間である程度知られているとしても、該商品の一般の需要者の間においては、出願時はもとより査定時において、申立人の業務に係る商品又は申立人の著名な略称を表示するものとして広く認識されていたということは到底できない。

(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、上記1のとおり「VISTRON」及び「ビストロン」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「ビストロン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと認められる。
イ 他方、引用商標は、上記2(1)のとおり「Wistron」及び「ウィストロン」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「ウィストロン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと認められる。
ウ そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両商標は、外観においては、いずれも欧文字7文字と片仮名5文字という比較的少ない文字構成にあって語頭部分の「V」と「W」及び「ビ」と「ウィ」の差異を有するから、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「ビストロン」の称呼と引用商標から生じる「ウィストロン」の称呼を比較すると、両者は、称呼の識別上最も重要な要素を占める語頭部において「ビ」と「ウィ」の音の差異を有するものであり、この差異が共に5音という短い音構成にあって称呼全体の音感に与える影響は少なくなく、これらをそれぞれ一連に称呼しても語調・語感が異なり相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、両者はいずれも特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、かつ、他に両者が類似するというべき理由は見いだせないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。

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