「サラサラクール」(指定商品:生理用品)は識別力あり
2012.09.14
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1 本願商標
本願商標は、「サラサラクール」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成22年12月29日に商標登録出願されたものである。
そして、指定商品は原審における平成23年6月6日付け手続補正書により第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,はえ取り紙,防虫紙」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『サラサラクール』の文字を標準文字で表してなるが、その構成中前半の『サラサラ』の語は、『油気・粘り気・湿気がなく心地よく乾いているさま。』等の意味を有し、後半の『クール』の語は『涼しくさわやかなさま。清涼』等の意味を有しているところ、指定商品中『薬剤』との関係については、『サラサラ』の語は、肌に対して制汗作用や油気、水気を吸収する作用を有する商品の使用感を表現する語として使用されており、『クール』の語は清涼感を与える商品に使用されている実情があることよりすると、本願商標は全体として『使用感がサラサラな、清涼感を与えるもの』程の意味合いを認識させるものといえる。そうすると、本願商標をその指定商品中、『薬剤』に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、該商品が『使用感がサラサラな、清涼感を与えるもの』であること、即ち単に商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としては認識しないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「サラサラクール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「サラサラ」の文字は「油気・粘り気・湿気がなく心地よく乾いているさま。」等の意味を有する語であり、「クール」の文字は「涼しくさわやかなさま。清涼。」(ともに「広辞苑第6版」)等の意味を有する語であるところ、本願の指定商品中例えば「薬剤」との関係において「サラサラ(さらさら)」、「クール(COOL)」の語が、商品を人体に使用したときの使用感、品質を表す語として用いられている事実は認められる。
しかしながら、本願商標は、構成全体を同書、同大、等間隔に表されているものであり、両語を結合した「サラサラクール」の語が原審説示の意味合いを暗示させる場合があるとしても、これが直ちにその指定商品の品質等を直接的ないし具体的に表示するものとして、一般に理解されるものとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを有しない一種の造語を表したものと認識、把握されるとみるのが相当である。
また、「サラサラクール」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実を発見することはできなかった。
してみると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。