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外国出願費用を品質を落とさずに削減する方法

2019.04.12

伊藤 寛之

最近は、日本の特許出願件数を減らして、その代わりに、外国出願の件数を増やしているところが多いようです。
外国出願に際して問題になるのは、なんといってもそのコストだと思います。
日本出願であれば、日本の特許事務所費用だけで大丈夫ですが、外国出願の場合は、日本の特許事務所の手続き費用、翻訳費用、現地代理人費用が必要になりますので、非常に高額になります。外国出願費用を削減するには、これら3つの費用を総合的に削減する必要があります。
1.日本の特許事務所費用
 弊所では、クライアントができるだけ多くの外国出願を行うことができるように、弊所手数料を安くし、特殊なケースを除いては、それ以外には費用を請求しないことにしました。これによって、例えば5ヶ国に出願する場合は、かなりの費用削減ができるようになります。
 これだけ安くして品質が保てるかどうかが不安になると思いますが、欧米は、私、伊藤寛之(米国弁理士試験合格、TOEIC満点、外国出願取り扱い経験多数)が全件担当又はチェックし、アジアは、弊所の朝鮮族・モンゴル族・漢民族の中国人が全件担当又はチェックして、現地事務所と綿密な連絡をとりながら進めますので、品質については、他の特許事務所に劣ることがないはずです。
2.翻訳費用 
外国出願では、現地語への翻訳費用の負担が重いと思います。

2-1.日英翻訳

 多くの特許事務所では、翻訳会社に日英翻訳を外注し、仕上がった原稿を事務所担当者がチェックして、クライアントに納品しています。翻訳会社の費用に、事務所担当者の給与と、事務所の利益を乗せると、クライアントへの請求が高額になってしまいます。このような高額な値段では、文字数が多い出願では、翻訳代が非常に高額になってしまいます。また、別の問題として、翻訳会社の担当者の技術力・英語力のバラツキが大きく、さらに、特許事務所の担当者の英語力のバラツキが大きいことです。最悪なケースでは、翻訳会社からの質の悪い英文が、英語のできない事務所担当者にチェックされて、ほとんど素通りでクライアントに納品されてしまうことがあると思います。
 弊所では、日英翻訳は全件所内で翻訳します。大部分は、私自信が担当しますが、他のものに担当させる場合にも、私が全件チェックして、品質を十分に高めた上で納品しています。所内で翻訳しますので、かなり安価なワード単価が実現できています。従って、例えば英単語が1万ワードのケースでは、かなりの費用削減になります
2-2.日韓・日中・日台翻訳
 多くの特許事務所では、日韓・日中・日台翻訳は現地代理人に丸投げしていると思います。その品質管理には、全く関与していないと思います。技術内容をよく理解せずに翻訳をされても日本語の理解があやふやなまま翻訳されても、日本側では分かりません。中国人翻訳者が日本語明細書を理解する力は、日本の弁理士が日本語明細書を理解する力よりも劣るので、日本語明細書で分かりにくい表現があるはずですが、日本側に問い合わせをすることなく推測で翻訳をしているのが現状です。その理由は、多くの場合、中国人翻訳者が日本側とコンタクトを取ることを経営者が嫌う傾向にあることだと聞いています。翻訳者が引き抜かれるのを恐れているのだと思います(日本の翻訳会社も、一般に、翻訳者と特許事務所が直接接触することを禁止しています)。
 弊所では、日韓・日中・日台翻訳を朝鮮族・モンゴル族・漢民族の中国人が翻訳します。翻訳費用は、日→中、日→韓ともにかなり安価なワード単価であり、現地料金とほぼ同じか、若干安い料金にしています。また、日→中、日→韓の両方が依頼されたときは、韓国翻訳をさらに割り引いています。日→中と日→台の両方が依頼されたときも、やはりさらに割り引いています。
 日韓・日中翻訳を所内で行うメリットは、その品質管理です。李のすぐそばに、その明細書を書いた弁理士がいますので、内容に疑問があるといは、李はすぐに質問をして、内容を正確に理解することができます。また、弊所が使っている現地代理人は、単に提出するだけではなく、基本料金の範囲内で、現地語の明細書を読んでみて、おかしなところが出願前に指摘してくれますので、ミスの発生を減らすことができます。
 3.現地代理人費用
 外国出願費用を低減するには、現地代理人費用も安くする必要があります。多くの特許事務所では、現地代理人費用を安くするという努力がなされていないと思います。その理由は、現地代理人は、外内案件の発注者でもあるので、交渉をするのが難しいこと、最終的にはクライアントが支払うので事務所としては現地代理人費用が高くても懐が痛まないことだと思います。
 弊所では、これから企業がますますグローバル化していくのを特許事務所としてサポートするために、できるだけ少ない費用で外国出願ができるようにすることを目標にしています。そのため、安価で代理してくれるように現地代理人と交渉しています(その代わりに、弊所も外内案件を値引きして、相手方の事務所も「日本出願を安くできる」ことを売りにできるようにしてあげています。)。
一例を挙げると、
 米国出願は全部込みでかなり安価なフラット料金です。
 EP出願は、審査請求・国の指定料までも込みでかなり安価なフラット料金です。EPの代理人は、基本手数料に加えて、優先権主張費用、審査請求料、国指定費用など、色々と理由をつけて、費用を請求してくる場合が多いと思います。全部合わせると、大変な金額になります。弊所が使っているドイツにある事務所は、審査請求・国の指定料までも込みでかなり安価なフラット料金でやってくれるので、みなさん驚かれます。
 韓国・中国・台湾・シンガポール・マレーシア・ベトナムも、欧米よりもさらに安価なフラット料金です。日本の特許事務所は、外内メインの有名な事務所を良く使いますが、このような事務所は、日本相手に商売しているので、費用が高くなる傾向があります。弊所では、有名ではないがいい仕事をする事務所を李が開拓して、値段交渉をした上で、仕事を発注していますので、現地代理人費用が比較的安くなっています。
以上の三点を実行すれば、外国出願費用は、相当に安くなると思います。最近の不況下で知財予算が減少する傾向にありますが、出願数を減らすことは将来の競争力を削ることですので、タコが自分の足を食べるようなものだと思います。そうすると、日本の企業が今後、国際競争力が維持するには、知財予算が削減されても、同じ数の特許出願を維持することができる環境を作ることが必要であり、そのような環境を提供することが、これからの特許事務所の役割だと思います。