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国際調査機関の見解書の結果が良ければ色々とお得

2012.10.04

伊藤 寛之

PCT出願をすると、何も手続をしなくても、3ヶ月ほど経過すると、以下にしめすような、「国際調査機関の見解書」というのが送られてきます。これは、日本の審査官が、先行技術調査をして、その結果に基づいて、新規性・進歩性の有無を判断するものです。この文書自体は、法律的には、何の拘束力もないものなので、結果が悪くてもそれほど気にする必要はありません。
ただ、結果が良ければ、色々とお得です。
1.PCT-PPH(早期審査)が使える
詳細は、以下のリンクで。見解書の結果が良ければ、PCT-PPHを申請することができ、その場合、通常ルートよりもかなり早期に審査されます。早期審査の場合、若干、審査が甘めになる傾向があります。米国などでは、その傾向が露骨なので、PCT-PPHの申請ができる場合は、申請をした方がOA費用の節約になります。
PCT出願の国際段階成果物を利用した特許審査ハイウェイについて
2.SGなどではそのまま特許になる
SGなどでは、この見解書に依拠することによって、審査を受けずに特許を受けることができます。
3.AUなどでは、審査の内容は実質的に見解書の内容と同じになる
この間、受けたAUの拒絶理由は、「見解書の通り」という内奥でした。
特に審査能力が低い国での権利化を希望する場合には、見解書の影響は、非常に大きいと思います。見解書の内容がよくない場合は、国際予備審査請求を行なって、補正を行ったり、意見を述べたりして、結論が変わることがあります。ただ、手間と費用がかかりますので、できれば見解書の段階でいい結果をもらいたいところです。

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