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【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®ヒストリー 中空懐中電灯の発明者 アン・マコシンスキー(グーグル・サイエンス・フェアで中空構造の熱電懐中電灯「Hollow Flashlight」を発明して優勝して、環境保護に役立つ発明を行っている若き天才発明家)

じっくりヒストリー IP HACK

2025.05.25

AKI

私たちの身の回りには非常に多くの画期的なモノや手法であふれています。これらはすべて先人たちのアイデアによって実用化された数多くの発明のおかげです。発明だけで終わることはなく、便利なアイテムは時代に合わせてさらに便利なものへと進化を遂げてきました。いくつもの発明を1人で成し遂げた人物も、歴史上では数々存在します。中空懐中電灯は、人間の手と空気の温度差を利用して灯りをともす発明品です。ペルティエ素子と呼ばれる半導体を活用して温度差による発電を実現し、中空構造にすることで対流の増加を実現しています。この中空懐中電灯を発明したのが、カナダの発明家アン・マコシンスキーです。彼女は学生でありながら、発明に加えて芸術や環境保護の分野で活躍しています。今回はそんなアン・マコシンスキーの生涯を振り返っていきましょう。

アン・マコシンスキーの前半生(グーグル・サイエンス・フェアで中空構造の熱電懐中電灯「Hollow Flashlight」を発明して優勝する)

アン・マコシンスキーは1997年、カナダで生まれました。彼女はフィリピンやポーランド、カナダなどの血を持つ家系であり、現在は家族でブリティッシュコロンビア州サーニッチに住んでいます。父親は2つの医療特許を持っていて、マコシンスキーはそんな父譲りの発明に対する情熱を持ち合わせていました。

彼女はセントマイケルズ大学で学び、7年生のときのプロジェクトでキャンドルの余熱を利用して動力を得られるラジオを発明し、さらに9年生の時に圧電懐中電灯も作りました。

2013年、マコシンスキーは、グーグル・サイエンス・フェアで中空構造の熱電懐中電灯「Hollow Flashlight」を発表し、見事に優勝を収めました。この懐中電灯は、一方の側が他方の側よりも熱いときに発電する性質を持つ半導体であるペルティエ素子を使用し、手と空気の熱差によって生じたエネルギーから発電する仕組みを構築したものです。中空という構造が、対流の流れを増加させる作用効果を持ちます。彼女がこれを発明したのは、母親の故郷であるフィリピンを訪れた際に友人から聞いた話が原動力となりました。いわく、夜に勉強したいのに十分なあかりがなく、高校に落ちてしまったのだとか。彼女はそんなフィリピンの現状を変えるため、温度差によって発電する懐中電灯を発明したのです。現在、マコ新スキーは「Hollow Flashlight」の商業的な製造およびこの発明を利用した製品を供給することを進めています。

2015年、マコシンスキーは、携帯電話等を充電するeDrinkによって、インテル国際学生科学技術フェアで優勝しました。こちらの発明は、コーヒーの余熱を電気に変換し、その電力で携帯電話の充電を可能にしたものです。マコシンスキーの高校の友人が「ホットコーヒーが飲める温度に冷めるまで時間がかかりすぎる」「携帯電話のバッテリーがすぐに切れてしまう」と話したことが、この発明のきっかけとなりました。このように、マコシンスキーは自身の身近で見聞きした問題に対して解決を図れるような発明を行ってきたのです。

アン・マコシンスキーの後半生(TEDで講演して大人気になり環境保護に役立つ発明を行う)

マコシンスキーの発明のすごさは世界に知れ渡り、2013年にはTEDxリッチモンドとTEDxバンクーバーのカンファレンスに招かれて講演を行いました。さらに同年、タイムの「世界を変える30歳未満の30人」に選出され、カナダ・ワイド・サイエンス・フェアで金メダルを獲得しました。2014年、2016年にも講演を行い、彼女の話に世界中が耳を傾けました。

マコシンスキーは2015年に発明した飲み物の余熱を利用して電話を充電するeDrinkマグカップをジミーファロンの「今夜のショー」で披露し、彼女の教育を支援するための5000ドルを賞金として受け取りました。インテル国際学生科学技術フェアでは4つの主要な賞を受賞し、2016年にはポピュラーサイエンスヤング発明家にも選ばれました。

発明の才能で世界を驚かせたマコシンスキーですが、彼女は芸術と科学のつながりにも深い関心を注いでいます。科学的なことばかりではなく、芸術を通して人の心を感動させることも大切だと考えているのです。科学と芸術のバランスをとり、芸術と科学が協働できることを子どもたちに伝えることの重要性についても語っています。

もう一つの活動として、マコシンスキーは環境保護活動にも取り組んでいます。

マコシンスキーは、2017年の北西航路への2週間の小旅行での経験から、子どもたちが「再生可能エネルギー」を学べるおもちゃを発明しました。子どもたちが自ら学ぶことで、他の人の発明を待たなくても、自分たちで解決策を見つけられるようになることを期待しています。

今回は、学生でありながらいくつもの発明を残し、「世界を変える30歳未満の30人」に選出されたアン・マコシンスキーの生涯を振り返りました。若くして地球のことや将来のことを考え、実行に移せる彼女の姿勢は素晴らしいものです。持続可能な社会の実現に向けて、私たちもできることに取り組んでいくことが大事ですね。

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