ブログ

【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®ヒストリー ライデン瓶を発明した ピーテル・ファン・ミュッセンブルーク(静電気を貯めることができるライデン瓶を発明した優秀な発明家)

IP HACK

2025.04.25

AKI

私たちの身の回りには非常に多くの画期的なモノや手法であふれています。これらはすべて先人たちのアイデアによって実用化された数多くの発明のおかげです。電気を蓄えたり、放出したりする道具であるコンデンサ(蓄電器)は、電子回路や電源回路、さらに電源そのものとしても利用されています。現代においてはノートPCやハイブリッドカーや電気自動車の電源にも使用され、電子機器に欠かせない電子部品のひとつです。最初に作られたコンデンサは「ライデン瓶」と呼ばれ、ガラス瓶の中に電気を溜める仕組みとなっていました。ライデン瓶を発明したのは、オランダの科学者ピーテル・ファン・ミュッセンブルークです。今回はそんなピーテル・ファン・ミュッセンブルークの生涯を振り返っていきましょう。

ピーテル・ファン・ミュッセンブルークの前半生(様々な学問を学んで静電気の研究を始める)

ピーテル・ファン・ミュッセンブルークは1692年、ネーデルラント連邦共和国ホラント州のライデンで生まれました。父はポンプや顕微鏡、望遠鏡などを作成する職人でした。ピーテルは1708年までラテン語学校に通い、そこでギリシア語、ラテン語、フランス語、英語、高地ドイツ語、イタリア語、スペイン語を学びました。そしてライデン大学で医学を学び、1718年に博士号を取得します。彼はまたロンドンで行われたジョン・デサグリエとアイザック・ニュートンの講義にも通っています。1719年には、哲学の学習を終えました。

1719年から、ミュッセンブルークはデュースブルクで数学と哲学の教授となり、1721年には医学の教授職に就きました。1723年にデュースブルクを去ると、彼はユトレヒトで10年あまりの時間を過ごしました。ユトレヒトでは占星術の教授ともなり、多方面で活躍しました。

1739年、彼はライデンに戻り、静電気の研究を始めました。

ピーテル・ファン・ミュッセンブルークの後半生(静電気を貯めることができるライデン瓶を発明する)

当時、静電気は摩擦によって一時的に作成できることが知られていました。しかし発生した電気はすぐに放出されてしまい、貯めておく方法はありませんでした。ミュッセンブルークは静電気を貯めておく仕組みを作り、それを実現しようとしていました。彼は弟子のアンドレアス・クナエウスとともに、電気に関する実験を行いました。彼らは、水で満たしたガラス瓶の中に真鍮の棒を入れると、電気エネルギーを保持できることを発見したのです。また同時に、集めた電気エネルギーを放出するにはガラス瓶内部の導体と外部の導体を接続すればよいということにも気がつきました。この装置は「ライデン瓶」と呼ばれ、世界で初となるコンデンサが誕生したのです。

ミュッセンブルークがライデン瓶の発明を公表した直後、ドイツの科学者エヴァルト・ゲオルク・フォン・クライストも同様の装置を作っていたことがわかりました。ライデン瓶が登場する3ヶ月前、クライストは手で持ったガラス瓶の中に、満たされた水に高圧静電発電機を導線でつなぐと電荷が蓄えられる事を発見していました。クライストの手と瓶の中の水が導電体として働き、ガラス瓶は誘電体としての役割を果たしました。発電機を外したあと、クライストが導線に触ると激痛を伴う火花が発生しました。しかしこの発見を公表するのが遅れ、発見者としての立場をミュッセンブルークに譲らざるを得ませんでした。

その後、ライデン瓶はいくつもの改良を加えられ、コンデンサとしての性能を向上させていきました。ミュッセンブルークに続いて、技術者たちはより多くの電気を蓄えるためにはどうすればよいかを研究し、それを実現していったのです。グダニスクのダニエル・グラートは電荷容量を増やすため、瓶を並列に結合させることを試みました。ベンジャミン・フランクリンはガラス自体が電荷を蓄える効果を増幅させていることを発見し、化学電池に「バッテリー」という言葉を用いました。

ライデン瓶はやがて板ガラスへと形状を変え、強力な電荷を蓄えられるようになっていきます。1900年に無線電気通信が発明され、容量の規格化と高周波への移行が必要とされるまで、発明初期のライデン瓶が使用され続けました。

1754年、彼はサンクトペテルブルクの皇立科学アカデミーで名誉教授となりました。数年後、彼はライデンの地で永遠の眠りにつきました。

今回は、コンデンサの始祖である「ライデン瓶」を発明したピーテル・ファン・ミュッセンブルークの生涯を振り返りました。電気製品を動かすのに欠かせない静電気を蓄える仕組みができたことで、人々の生活はより豊かになりました。電気の発明の歴史は奥深く、調べてみるとたくさんのストーリーが登場します。そのストーリーを作り上げた人物たちの歩みがあってこそ、現代の生活があるのです。

アーカイブ