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ついに中国の第4次専利法が全人代で可決されました!

2020.10.19

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全世界の特許業界の皆様、おまちかねの中国の第4次専利法が全人代で可決されました!

第4次専利法は2021年6月1日より施行となるもようです。

新华社北京の10月17日付のニュース
严惩故意侵权 唤醒“沉睡”专利——专利法修改看点扫描

新浪财经の10月19日付のニュース
修改后的专利法:法定赔偿额上限提高至五百万元

どうも要約すると、下記のような大改正が行われたようですね。すでに、特許+実用新案+意匠の法制度としては、日本を超えて、アメリカに匹敵する最新の制度が完成しましたね(運用がどうなるかは、今後の動向をウォッチしないといけませんが・・・)。まさに、習近平国家主席がめざしている、アメリカをハイテク技術で凌駕して、世界の技術覇権を握るための国家戦略である【中国製造2025】を実現するための知財強国にふさわしい制度が完成したと言っても過言ではないですね。

1.特許権侵害の5倍賠償制度の導入(アメリカは3倍賠償制度なので、アメリカを制度面では超えました)

第4次専利法では、懲罰的な損害賠償制度が新たに追設され、故意に特許権を侵害し、情状が重大である場合に、人民法院は権利者が蒙った損失、侵害者が得た利益または特許ライセンスのロイヤルティの倍数に従って算出された額の1から5倍以内に損害賠償額を確定することができると規定されました。また、法定賠償額の引上げを行い、法定賠償額の上限が5百万元に、下限が3万元に引き上げられました。

2.立証責任の転換(日本と同様な制度が導入されました)

第4次専利法では、権利侵害行為に関する帳簿、資料が主に侵害者に把握されている場合、人民法院は、侵害者にそれを提供することを命じることができることになりました。

3、特許のオープン・ライセンス制度の導入(5Gに代表される技術覇権戦争における中国発技術標準による世界制覇を狙った中華流オープンイノベーション政策が導入されました)

第4次専利法では、特許のオープン・ライセンス制度が新たに追設されました。具体的には、オープン・ライセンス声明及びそれが発効するための手続要件や、ライセンシーがオープン・ライセンスを取得するための手続きと権利義務及び相応する争議解決ルートが規定されました。

4.医薬品の存続期間の延長(日本と同様な制度が導入されました)

第4次専利法では、新医薬の認可に応じた存続期間の延長に関し補償の期間は5年を超えず、新医薬の市場販売の承認の後の専利権の総存続期間は14年を超えないと規定されました。

5、意匠制度の大改正(日本と同様に部分意匠が保護されることになりました)

 5-1、部分意匠制度の導入

 5-2、意匠権の保護期間を15年に延長

 5-3、意匠の国内優先権制度の導入

その他、細かい法改正も色々と行われたようです。SKIPでも、全人代や、国家知識産権局や、現地代理人から情報を収集して、さらに詳しい情報が入手できましたら、特許業界の皆様に報告させていただきます。

以上、貴重な情報をご教示いただいた、北京三友IPグループDragon IP GroupUnitalen北京品源知識産権代理有限公司華進聯合特許商標代理有限公司北京林達劉知識産権代理事務所に感謝申し上げます。

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