日本においても、また外国出願においても、審査官から「拒絶査定(Decision of Rejection)」を受けた際の対応は非常に悩ましいものです。権利化を諦めるのか、それとも粘り強く補正や分割で対応するのか、種々の要素を考慮しつつ総合判断することが求められる場面です。このような重要なタイミングで取りうる対応について正確に把握することは不可欠です。
各国の制度設計は様々ですが、特に台湾の制度は日本と似ているようで異なる独自の特徴があります。今回は、台湾特許法に基づき、分割や補正に着目しながら拒絶査定後の対応フローと注意すべきポイントをまとめます。
- 分割出願・補正ができる「最後の機会」は実質的に再審査における1stOA応答期間
- 初審段階での最後通知の影響による補正の制限
- 再審査請求以後の分割出願に係る子出願は再審査スタート
1. 台湾における拒絶査定後の全体フロー
台湾ではまず初審査が行われます。ここで拒絶査定となった場合、再審査請求により再審査が開始されます。
再審査請求後は、特許査定とならない場合でも一度は審査意見通知書が発行されます(審査基準 第2篇 第7章 審査意見通知書及び査定 5.再審査及び最後通知)。
下記の図は、拒絶査定後の選択肢と全体の流れを示しています。
2. 再審査請求に関する期限と書類
再審査請求の期限
拒絶査定(査定書送達後)から2ヶ月以内(不変期間)に再審査を請求する必要があります(法48条1項;審査基準 第1篇 第12章 再審査 1.再審査請求及び法定期間)。
再審査請求理由書の提出猶予
再審査請求時には「理由書」を併せて提出するのが原則ですが、実務上は請求を先行させ、理由書は追完可能です(審査基準 第1篇 第12章 再審査 3.再審査請求書類)。なお、再審査請求時には補正も行うことが多いと思われますが、後述のように補正可能な期間は別途規定されています。
期限延長申請:申請でさらに2ヶ月延長可能(最大計6ヶ月)
3. 再審査と補正
補正の時機
再審査請求に際して補正が可能です(法49条1項)。
審査意見通知書の発行後:審査意見通知書において指定された期間のみ補正可
⚠️補正のラストチャンス
再審査請求後に発行される1回目の審査意見通知書に対する応答期間が最後の補正の機会となること(その可能性が高いこと)について注意が必要です。
審査意見通知書に対する応答期間経過後は、拒絶査定又は特許査定となりますが、再審査拒絶査定となった場合にはそれ以降補正の機会はなくなります。
初審での「最後通知」による補正の制限
初審段階で「最後通知」を受けていた場合、再審査において補正内容は制限されます(法49条2項;法43条4項)。
・特許請求の範囲の減縮
・誤記の訂正
・明瞭でない事項の釈明
4. 再審査と分割出願
⚠️分割のラストチャンス
初審の拒絶査定後は、分割出願可能な時期は、再審査請求時~査定前、及び、特許査定から3ヶ月です(法34条2項)。
分割出願は、親出願が台湾特許庁(専利主務官庁)に係属している必要があります(審査基準 第1篇 第13章 分割及び変更出願 1.2 分割出願の法定期間)。そのため初審の拒絶査定~再審査請求前は分割出願が行えません。
また、再審査の拒絶査定以降は分割出願が行えません。よって、再審査請求後に発行される1回目の審査意見通知書に対する応答期間が実質的に最後の分割の機会となること(その可能性が高いこと)について注意が必要です。
厳密には審査意見通知書に対する応答期間が経過した後も拒絶査定前までは可能ですが、分割出願をする切っ掛けがなく査定を待つことになるのが通常であると思われます。
子出願は再審査からスタート
親出願が再審査段階にある時に分割出願を行った場合、その子出願は「初審」を経ることなく、直ちに「再審査」段階から開始されます。再審査特許査定後に提出する分割出願であっても同様です(審査基準 第1篇 第13章 分割及び変更出願 1.4 分割出願が受理された後の関連規定)。
初審から開始
①初審の査定前の分割出願
②初審の特許査定後の分割出願
再審査から開始
④再審査請求後、再審査の査定前の分割出願
⑤再審査の特許査定後の分割出願
分割不可
③初審の拒絶査定後、再審査請求前
⑥再審査の拒絶査定後
※本記事の内容は、記事作成時点の情報および法令に基づいています 。正確な情報の提供に努めておりますが、内容の完全性・正確性を保証するものではなく、本記事の内容に関して生じた損害等について一切の責任を負いません 。個別の事案については必ず弁理士等の専門家にご相談の上、手続きを進めていただくよう強く推奨いたします 。






