【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #13 ビジネス関連発明とは?出願動向やAIとの関係も徹底解説
2025.06.26
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ビジネス関連発明とは?出願動向やAIとの関係も徹底解説
近年、AIやIoTをはじめとする第四次産業革命の進展とともに「ビジネス関連発明」への注目が急速に高まっています。IT技術の進化により、従来のビジネスモデルに新たな付加価値が生まれ、特許出願の分野にも大きな変化が起きています。
特に国内外で出願件数が増加しており、今後の企業戦略や知的財産権の管理において重要なキーワードとなっています。この記事では、ビジネス関連発明の定義から最新の出願動向、AIとの関係、各国の状況まで詳しく解説します。
ビジネス関連発明とは?
ビジネス関連発明とは、ビジネス方法をICT(情報通信技術)を用いて実現した発明のことを指します。単なるビジネスアイデアは特許保護の対象になりませんが、ICT技術を組み合わせて具体的に実現された仕組みは特許出願が可能になります。たとえば、生産管理システム、販売管理プラットフォーム、決済システム、配車アプリなどが該当します。
第四次産業革命とビジネス関連発明の関係
AI、IoT、ビッグデータといった第四次産業革命のキーテクノロジーがビジネス関連発明を大きく後押ししています。たとえばIoTでは、センサーによるデータ取得からクラウド蓄積、AIによる分析、そしてその分析結果を新たなビジネスサービスに活用する流れが一般化しています。こうした仕組みの中でICTを活用した独自システムが開発され、それが特許の対象となるケースが増えています。
ビジネス関連発明の出願動向(国内・国際)
国内の出願件数は再び増加傾向に
国内では2000年代初頭に一度出願ブームがありましたが、その後減少傾向となり、2012年頃から再び増加に転じました。2022年の出願件数は13,411件と高水準になっています。この背景には、モノからコトへの産業構造の転換、ソリューションビジネスの成長、AIやIoT技術の普及が影響しています。
また、かつては低かった特許査定率も、現在は70%台と安定的に高水準で推移しています。
分野別の出願動向
近年出願が多い主な分野は以下のとおりです。
分野 | 代表的な出願内容 |
サービス業全般(G06Q50/,90/,99/) | 配車アプリ、民泊、不動産テックなど |
管理・経営(G06Q10/) | 在庫管理や業務システムのAI活用 |
EC・マーケティング(G06Q30/) | フリマアプリ、ネット広告、マーケット予測 |
金融(G06Q20/,40/) | スマホ決済、家計簿アプリ、フィンテック |
特にAI技術の活用が進む「管理・経営」や「サービス業一般」では大幅な伸びが見られます。また、農業・製造業・公共サービスなどの分野でも着実に出願が増えています。
AI関連発明との親和性
ビジネス関連発明において、AI(特に機械学習を活用する技術)が導入されるケースが増えています。2015年以降、管理・経営やサービス業全般を中心にAI関連の出願が急増しています。たとえば、需要予測や生産スケジュール最適化、マーケティング分析などAIの導入による効率化が進んでいます。
各国の出願動向
世界的にもビジネス関連発明の出願は拡大傾向です。ただし、国によって出願件数や審査の厳しさは異なります。
国・地域 | 2021年出願件数の特徴 |
中国 | 75,107件(急激に増加中) |
日本 | 10,848件(安定して増加) |
韓国 | 16,770件 |
米国 | 18,089件(Alice判決の影響で一時減少) |
欧州(EPO) | 3,438件(依然として厳しい進歩性判断) |
特に中国では急速に出願件数が伸びており、世界最大の出願国となっています。一方、米国では2014年のAlice判決によりビジネス関連発明の特許取得が難しくなった時期もありましたが、審査ガイドライン改定を受けて現在は出願が安定しています。
まとめ
ビジネス関連発明は、AIやIoTの発展とともに今後ますます重要性を増す知的財産分野です。特に管理・経営、サービス業、金融、ECといった身近なビジネス領域での出願が急増しています。国内外での出願件数は年々拡大しており、中国やアメリカ、日本を中心に活発な競争が続いています。
企業にとっては、今後の事業戦略の中で自社独自のビジネスモデルを知的財産として保護する視点が不可欠です。AI・ビッグデータ・IoTを活用した新サービスの開発を進めるとともに、特許出願の検討も積極的に行うことが求められます。
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