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【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #12 令和5年法改正 不正競争防止法等の一部を改正する法律とは?変更・追加点を解説

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2025.06.19

SKIP

令和5年法改正 不正競争防止法等の一部を改正する法律とは?変更・追加点を解説

グローバル化とデジタル化が加速する中、知的財産を取り巻く環境も大きく変化しています。ブランドやデザインがインターネット上で容易に拡散される時代となり、企業にとっては模倣被害や営業秘密の漏洩といった新たなリスクが深刻化しています。

さらに、スタートアップや中小企業による新規事業の展開も増える中、迅速かつ柔軟に知的財産を活用できる制度の整備が求められていました。

こうした背景を受けて、2023年6月7日に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が可決され、6月14日に公布されました。

この記事では、不正競争防止法等の一部を改正する法律について解説します。

不正競争防止法等の一部を改正する法律の詳細

不正競争防止法等の一部を改正する法律では、下記3つの柱において変更が行われました。

  • デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化
  • コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備
  • 国際的な事業展開に関する制度整備

それぞれ詳しく見ていきましょう。

デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化

デジタル技術の活用により、スタートアップや中小企業の事業活動が多様化していることを踏まえ、ブランド・デザインやデータの保護を強化する措置が講じられました。

1. 登録可能な商標の拡充(商標法改正)

商標法の改正により、これまで登録が認められなかった他人の商標と類似する商標であっても、先に商標権を取得した人の同意がある場合には登録が可能となりました(商標法第4条等)。あわせて、そのような商標を用いた正当な使用については、不正競争と見なさないことが明記されました。

また、事業者が自身の氏名を含む商標を登録したい場合についても、一定の条件を満たせば他人の承諾なしで登録できるようになっています。

2. 意匠登録手続の要件緩和(意匠法改正)

意匠法も改正され、デザインの創作者が出願前に複数の相手にデザインを公開していた場合でも、一定の要件を満たせば救済措置を受けられるようにするため、手続きの要件が緩和されました。

3. デジタル空間における模倣行為の防止(不正競争防止法第2条)

不正競争防止法では、これまで実体のある商品に対する保護が主でしたが、改正によりデジタル空間上での模倣行為も規制対象に含まれるようになりました。これにより、実際の製品に限らず、デジタル上に存在する商品形態も不正競争行為として差止請求などの救済措置を講じることができます。

4. 営業秘密・限定提供データの保護の強化(不正競争防止法第5条等)

営業秘密や、限定的に第三者へ提供するデータについても保護が強化されました。たとえば、ピッチ資料などの機密性をもつデータが、秘密管理されている場合には限定提供データと認定され、権利侵害に対して差止請求や損害賠償を請求できるようになりました。

さらに、損害賠償を請求する際に、実際の損害額が被侵害者の生産能力を上回る場合には、その超過分についても使用許諾料相当額として請求できるように見直されました。

加えて、特許・実用新案・意匠の各裁定手続きにおいて、提出資料に営業秘密が含まれている場合には、その閲覧を制限できるようになりました。

コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備

申請書類の送付困難や書面主義の見直し、中小企業向け手数料減免制度の見直しなどが行われました。

1. 送達制度の見直し(特許法第191条、意匠法第5条等)

国外にいる出願人や権利者に対して書類の郵送ができない場合に備えて、書類の内容を公にすることで送付されたものとみなす仕組みが設けられました。あわせて、インターネット経由での送達を認める規定が追加され、これにより郵便事情に左右されずに手続が進められるようになります。

2. 書面手続のデジタル化等のための見直し(特許法第43条、商標法第68条の2、意匠法第8条)

特許出願や商標の国際登録出願などに関しても、手続の一部を電子化することで書面提出の負担を軽減し、効率的な処理が可能となるよう見直しが行われました。これには、出願人が複数の手数料をまとめて一括納付できるようにする制度も含まれます。

3. 手数料減免制度の見直し(特許法第195条の2等)

中小企業が特許出願を行う際の経済的な負担軽減を目的として設けられている手数料減免制度についても、制度の趣旨に沿った見直しが行われました。資金的な制約がある中小企業などが利用しやすいようにしつつ、乱用を防ぐ観点から、一部においては件数に上限を設ける措置が加えられました。

国際的な事業展開に関する制度整備

海外での不正行為や権利侵害に対する対応を強化するための制度が整えられました。

1. 外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充(不正競争防止法第21条等)

外国公務員への贈賄を防止するための罰則については、OECD外国公務員贈賄防止条約などの国際基準に合わせて、法定刑の引き上げが行われました。これにより、日本企業の外国人従業員が海外で単独で行った贈賄行為についても、日本国内の法律に基づき処罰が可能となります。

法人についても両罰規定により、より広く責任を問うことができるようになっています。

2. 国際的な営業秘密侵害事件における手続の明確化(不正競争防止法第19条の2等)

営業秘密が海外で不正に取得・使用された場合でも、日本国内において日本企業が訴訟を提起できるよう、手続の明確化が図られました。日本の裁判所での審理が可能となり、日本法を適用することができるよう制度が整備されました。

まとめ

今回の法改正は、デジタル時代・国際化時代に即した知的財産制度の整備を目的としたものであり、企業の知財戦略にも大きな影響を与える内容となっています。

知的財産制度の改正により、ビジネスの現場ではより柔軟かつ実践的な知財戦略が求められるようになっています。しかし、制度の正確な理解や活用には、専門的な知識と経験が欠かせません。

SK弁理士法人では、今回の法改正をはじめとした最新の知財制度に精通した専門家が、貴社の課題に応じた最適なアドバイスを提供しています。ぜひ一度ご相談ください。

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