オオカミ特許戦略は、日本のパチンコ業界の知財部門において独自に発展を遂げてきた知財戦術である待ち伏せ+アテコミ+カブセコミという三種の神器の裏技テクニックにより成り立っています。ここでは、このうち、カブセコミというテクニックについて解説します。
カブセコミの具体的なやりかた
カブセコミのテクニックでは、他社の基本特許の上に、数個から数十個近くの自社の改良特許を被せ込みます。こうして、他社がその基本特許を最適な構成や条件や用途で使いたくても使えない状況に追い込みます。もちろん、自社としても、結局は、他社の基本特許のせいで自社の改良特許を使えませんので、お互いに何もできないデッドロックな状況になってしまいます。そして、この状況を打開するためという名目で、他社と交渉して、お互いにクロスライセンスに持ち込むわけです。
カブセコミの有効性
カブセコミを行うことにより、クロスライセンスの交渉がうまくいけば、他社の基本特許に邪魔されて参入困難であった市場に参入が可能になります。
なぜなら、本来であれば他社からのライセンス許諾が見込めない基本発明について、お互いに何もできないデッドロック状況にしてしまえば、他社はその基本特許を最適な構成や条件や用途で使うためには、クロスライセンスを許諾せざるを得ない状況に追い込まれるからです。
これにより、他社の基本特許および自社の改良特許のポートフォリオを用いて、特定の新製品や新サービスの市場を、他社と自社だけで寡占された状況にすることができ、サードパーティーよりも有利な競争条件で一歩先を行くことが可能となります。
カブセコミの難しさ
カブセコミを行うには、まず、他社の基本特許に関連する改良特許を取得します。この改良特許は、既に技術や製品などに関する基本特許が存在することを前提にしています。そのため、基本特許の理解と基本特許を具体的な製品やサービスに応用する研究開発の結果、改良点や新たな技術を見出す必要があります。この改良発明が1つであればそれほど大変ではありませんが、法的な立場や経済的な価値は、基本発明>改良発明ですので、1つの基本発明に対して数個から数十個近くの自社の改良特許を被せ込んでようやくクロスライセンスの交渉ができるのが一般的です。そのため、カブセコミに使うための多くの改良特許の取得をするために、多くの時間と労力と資金が必要になります。
そして、改良特許を取得した後は、基本特許と改良特許をお互いに利用可能するためのクロスライセンスの交渉が必要となります。自社と他社でクロスライセンス契約を結ぶことで、お互いが利益を得られる関係を築くことが目的です。クロスライセンスに成功すればサードパーティーに対して優位な関係を築くことができますが、他社との交渉は複雑であり、双方が合意できる条件を見つけることが難しいこともあります。さらに、クロスライセンスの交渉をうまくやるには、日本のみならず海外の特許法などの各種法律にも精通している必要があります。そのため、このクロスライセンスの交渉にも、多くの時間と労力と資金がかかります。
そのため、カブセコミのテクニックが普及しているのは、パチンコ業界を始めとする資金力の豊富な電機業界+機械業界です。これらの大企業が、カネにものをいわせて、カブセコミのテクニックを使って、相手が1つの基本特許を生み出したら、数個から数十個近くの自社の改良特許を被せ込んで、クロスライセンス交渉に持ち込もうとしています。このような数の勝負による軍拡競争が繰り広げられているために、電機業界+機械業界では、大量の特許出願が行われています。このようにして、大手企業同士でクロスライセンス網を構築して、中小企業やベンチャー企業を排除して市場を数社で寡占しているわけですね。
カブセコミならSKIPにおまかせ
とはいえ、カブセコミに成功すれば、革新的な1つの基本特許を生み出して市場を独占しようとしている他社に対して、数個から数十個近くの自社の改良特許を被せ込んで、クロスライセンスに持ち込んで、サードパーティーを市場から締め出すことができ、市場を寡占して優位な立場を築くことができるでしょう。
オオカミ特許戦略の一環としてのカブセコミのテクニックは、特許制度を駆使して他社の基本特許を突き崩し、他社の競争力を弱体化する手法として注目されています。ぜひ、企業の知財部門の特許担当者の方々は、このカブセコミのテクニックを理解し、他社の基本特許に守られた事業や技術に参入するために活用してみてください。
SKIPでは、これまでに、国内や海外で多くの特許ライセンスに関わった経験があり、カブセコミのテクニックを活用して1つの基本特許に頼る他社をデッドロック状態に追い込んで、ライセンス契約を成立させて寡占状態を形成することに成功した経験もあります。具体的なカブセコミのテクニックを知りたい場合には、ご遠慮なく、SKIPにご相談ください!
注:オオカミ、カブセコミは、SK弁理士法人の登録商標です。