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9月16日以降の米国出願について

2012.09.13

伊藤 寛之

米国特許法改正のうち、企業が出願人になれるという条項が9/16から施行されます。
Sec. 4. Inventor’s oath or declaration.発明者の宣誓書
(a) INVENTOR’S OATH OR DECLARATION.
(b) FILING BY OTHER THAN INVENTOR.発明者以外が出願可能
(c) SPECIFICATION.
(d) CONFORMING AMENDMENTS.
(e) EFFECTIVE DATE.   (施行日:2012/9/16)
それに伴う変化としては、宣誓書・譲渡証・委任状のフォームの変更が必要になります。
これまでのフォームは、使用できなくなりますので、現地代理人に新しいフォームの送付を要求する必要があります。
旧フォームですでに宣誓書を提出する案件を9/16以降に分割する場合は、再度、宣誓書の提出が必要になります
なお、国際出願日が9/16以前のPCT出願については、旧フォームを使用しますので、PCT出願については、この法改正の影響がでるのは、当分先です。

法改正の利点としては、従来はDeclarationは、出願時点で提出が必須でしたが、改正後は、Notice of Allowanceの時点までに提出すればよいことに変わったことです。それ以外にも細かな点で色々と簡素化されています。
発明者の署名が必要である点は変わりませんが、出願時点でのドタバタはましになりそうです。
ただ、今後は、出願人(会社)からの委任状が必要になります。従来は、発明者からの署名のみで実務を行なうのが一般的でしたが、今後は、会社からも発明者からも署名をもらう必要があります。却って面倒になったのかも知れません。
9/16以降のPCT出願ついては、企業について「米国を除く全ての指定国の出願人」なんていう訳の分からない指定方法がなくなり、単に「全ての指定国の出願人」となり、発明者については、米国のみの出願人、なんていう訳の分からない指定方法が無くなります。ようやく、願書が見やすくなります。従来は、例えば、日本の指定を取り下げる場合には、会社からの委任状と、全ての発明者からの委任状が必要でしたが、今後は、会社からの委任状だけで手続が可能になります。詳細は、以下の記事をご参照下さい。
http://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/newslett/2012/7_8_2012.pdf
http://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2012/pct_news_2012_08.pdf
なお、余談ですが、PCT27条(3)は、米国のみを意識していますので、この規定はもはや不要になります。
(3) 出願人が発明者でないという理由で当該指定国の国内法令により国内出願をする資格を有しない場合には、当該指定官庁は、当該国際出願を却下することができる。
また、PCT64条(4)は、米国のヒルマードクトリンのみを意識していますので、来年3/16に先願主義が施行されると、この規定も不要になります。
(4)(a) 自国の特許が公表の日前の日から先行技術としての効果を有することを定めているが工業所有権の
保護に関するパリ条約に基づいて主張される優先日を先行技術の問題については自国における実際の出願日と同
等に取り扱わないこととする国内法令を有する国
は、自国の指定を含む国際出願であつて他国においてしたもの
を先行技術の問題については自国における実際の出願と同等に取り扱わないことを宣言することができる。
PCTは米国の独自制度のために、ややこしくなっていましたが、この法改正によって、だいぶ分かりやすくなります。

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