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公衆を欺く意図がないことを理由に虚偽表示の罰金が回避された事件(Pequignot v. Solo Cup (Fed. Cir. 2010))

2010.11.16

伊藤 寛之

「米国では虚偽表示に対して誰でも損害賠償請求ができる」の記事では、米国では誰でも虚偽表示に基づく罰金の請求をして、巨額の富を得ることができる点を記載しました。
False Marking: Solo Cup Properly Rebutted Presumption of Intent to Deceive
Pequignot v. Solo Cup (Fed. Cir. 2010)

この事件では、ソロカップ社が、特許権が切れたにも関わらず、特許表示をしてカップのふたの販売を行ったことを理由に虚偽表示に基づく罰金が請求されました。カップのふたを2100万個販売していたので、巨額の罰金になりうる可能性が有りました。
争点の一つは、特許権が切れた後に特許表示を続けることが虚偽表示に該当するかどうかですが、この点について、CAFCは虚偽表示になると判断しました。
また、虚偽表示に基づく罰金は、公衆を欺く意図が要件ですが、この意図は推定されるとされているので、虚偽表示を行った者が、公衆を欺く意図がなかったことを立証する必要があります。
この点について、ソロカップ社は、特許表示を付したのは、(1)弁護士が特許表示を外さなくてもいいって助言したこと、(2)特許表示を外すにはコストが掛かるし、ビジネスが混乱するのでそれを避けるためであって、公衆を欺く意図ではないこと、を示す証拠を提出したところ、CAFCは、ソロカップ社の主張を認め、罰金を支払う必要がないと判示しました。

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