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米国著作権法を初めて勉強したときにショックを受けた内容のまとめ

2010.09.25

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留学してすぐに、米国著作権法を初めて勉強したときにショックを受けた内容のまとめです。
   音楽とソフトウエア以外には「貸与権」がない。DVDを買ってきてレンタル屋を勝手に始めてもよい。
   音楽にはアナログ公衆送信権がない。ラジオで音楽を流した場合、作曲家にはお金が支払われて歌手にはお金が支払われない。デジタル公衆送信権は1995年に導入された。
   無許可の二次的著作物には、創作性があっても著作権が発生しない。ロッキーのキャラクターを使って新たな台本を無許可で作った人が、その台本をロッキーの製作会社に持ち込んだら、勝手に無料で使用された。
   類似性の要件が比較的甘いかな?「スタイル」も表現に含まれると判断され、右の絵は、左の絵の複製であると判断された(Steinberg v. Columbia Pictures Industries, Inc.事件 地裁判例)。

  著作者人格権(moral rights)が極めて弱い
  visual art(絵や写真)以外には著作者人格権がない。
  氏名表示権と、著作者の名声を害する改変を阻止する権利(日本の同一性保持権よりもかなり限定的)
  「公表権」が無い。著作物が未公表であることは”fair use”の成立を妨げる事情として考慮される。公表のタイミングは、経済的事情を考慮して「著作権者」が決める。
  パロディは、fair useとして広く許容されている。(Leibovitz v. Paramount Pictures Corp.事件
    
有名なキャラクターを使って、そのキャラクター以外のものを批評することは許されない(その作品自体の批評を”parody”,別のものの批評を”satire”という)。下の例の場合、”The cat in the hat”というキャラクターがOJ Simpsonの批評に用いられたが”parody”には該当しないとされた。(The cat in the hat事件)

  著作権の譲渡から35~40年目に、著作者は、著作権を取り戻す権利を有する。著作者はこの権利を予め放棄できない。
  会社としては、作品を「職務著作」にするしか対抗手段がない。
  職務著作の「employee」の要件は厳格で、彫刻の製作を外部のartistに依頼した場合、そのartistは”employee”ではないとされた。
  レコード会社は自社の音楽を「職務著作」にしたがっているが、所属の作曲家や歌手は「employee」に該当しない可能性が高い。

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