ブログ

米国では情報提供をしない方いいという考えもある

2015.01.23

SKIP

一般に情報提供は、競合が広い範囲で特許を取得することを防ぐ手段として、極めて有効な手段であり、日本では非常に一般的に利用されています。
米国においても、近年の法改正によって情報提供制度が使いやすくなりました。また、公式な情報提供は、期間が制限されていますが、相手方代理人に文献を送付することによって、IDSの義務が存在している期間は、事実上、情報提供が可能になっています。
このような方法によって権利化を阻止できる可能性が高まりますが、デメリットとしては、審査時に審査官が考慮して文献はその後の無効審判(Inter Parte Review)や査定系再審査請求の根拠としては使用できないことです。
そうすると、審査を担当した審査官が情報提供された文献をろくに検討しないで特許にしてしまうという可能性が考慮すると、情報提供にもリスクがあることになります。
一般に、無効審判や査定系再審査請求を担当する審判官・審査官は、経験が豊富であり、かつ提出された文献を丁寧に検討する傾向があります。そうすると、潰したい特許がある場合は、情報提供よりも、無効審判又は査定系再審査において、重要な引例を提出する方が好ましいかも知れません。
また、再審査については、以下の論文が参考になります。この論文が私が留学中に研究した内容に基づくものであり、その当時からは、当事者系再審査が廃止されて、Inter Parte Reviewになりましたが、それ以外の点は現在でも有効だと思います。
米国における特許の有効性に関連する手続きについて
ちなみに、日本では、審査時に提出した文献を用いて無効審判を請求することは全く問題ありませんので、情報提供は極めて有効です。

アーカイブ