ブログ

成功謝金廃止

2012.09.19

SKIP

特許事務所からの請求書で分かりにくいものの一つに成功謝金・成功報酬があります。
通常は、特許査定になれば、自動的に請求されるようで、だいたい7万~10万円くらいが相場のようです。
弊所では、この成功謝金を原則廃止し、クライアント指定の料金表で仕事をする場合にのみ請求させて頂くことにしています。
理由は、色々とあります。
1.色々な国に出願しているのに日本で特許になった場合にだけ請求するのは不自然
2.諸外国の代理人もほとんど請求しない。
3.特許になったのは発明が良かっただけの場合もある。
4.特許になったのはクライアントの知財担当が優秀だったからの場合もある。
5.明細書が良かったのか、中間処理が良かったのか判断が難しい。中途移管があった場合、ややこしい。別の事務所に中途移管された場合に、途中までの成功報酬を請求する事務所もあるみたい。明細書作成時点で将来の成功報酬を約束しているのか?クライアントは事務所がダメだと思って、別事務所に移管しても成功報酬を請求されるのか?
6.もしかしたら、もっと広い範囲で権利取得できたかもしれない。特許になったからといって必ずしも成功とは限らない。
7.クライアントの費用負担を減らしたい。
8.成功謝金がなくても一生懸命やるのはプロとして当たり前。
9.成功謝金が無い方がクライアントと同じ視点に立ちやすい(成功謝金があると、無意識に「特許にすること」が優先されてしまいます。特許にすることが重要なのは当然ですが、安全目の応答方法と、ギリギリを狙う応答方法があり、特許の重要性・カバーすべき範囲・予算などによって決定されるべきものです。)
10.成功謝金がなくても中間処理費用は高くしない(意見書・補正書込みで通常7万円~8万円程度。10万円を超えることはほとんど無い)
11.だからといって特許査定率が低いわけではない(8割以上は特許になっていると思います)。
12.いい仕事をしてクライアントに評価をしてもらえれば、次の仕事に繋がるので、それで報酬としては十分。成功報酬をもらうよりもファンになってもらって、いい関係を築きたい。
こんな感じで、弁理士業の場合、弁護士業の場合よりも成功謝金は複雑だと思います。もちろん、成功謝金にもいい面があって、「特許にならないのになんで高額の費用を払わなあかんねん」という思いに答えて、中間処理費用を抑えることができるという側面もあります。
弊所は、中間処理費用を高くせずに、成功謝金を廃止して、クライアントに喜んで頂いています。

アーカイブ