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実施例の評価結果は見せ方を工夫する

2013.03.10

伊藤 寛之

ある2つの実験での測定値が3と3.2であったとします。この2つの数値は、同程度でしょうか?それとも大きな差でしょうか?
答えは、「ケース・バイ・ケースなので分からない」です。
数値の差がたった0.2なので、3と3.2は同程度であると評価される測定値も多いでしょう。
ただ、従来はどれだけ工夫をしても3を超えることができず、3が理論的な限界であるとすら考えられていて、しかも、その測定値が0.1でも上昇することが生産性を大幅に向上させるようなケースも少なくありません。汎用品の化学プラントの収率は、このようなケースが多いと思います。
このような極めて優れたデータを明細書に載せる場合に、普通に、3と3.2と載せてしまうと、審査官がその技術分野に習熟していない場合、「たいした差異でない」という印象をもたれてしまう可能性があります。もちろん、意見書で説明すれば、その印象を変えることは可能ですが、面倒です。
そこで、数値の技術的意義を正確に伝えるために、例えば以下のような評価基準を使います。
×:測定値が3以下
△:測定値が3超かつ3.1以下
○:測定値が3.1超かつ3.15以下
◎:測定値が3.15超
この基準に従うと、測定値3の評価は×で、測定値3.2の評価は◎になりますので、効果の差が大きいという印象付けができます。そして、そのような印象付けを行った上で、数値の小さな差異が、技術的に非常に大きな意義を有していることを明細書で十分に説明することが有効です。

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