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全体のバランスが取れた明細書を作成するための即効性のある方法

2013.03.09

伊藤 寛之

色々な明細書を見ていると、従来技術がやたら長かったり、発明の構成についても一般的な構成に関する記載が大部分で、発明のポイントとなる部分の記載が妙に薄かったりするものが多くあります。
発明のポイントとなる部分以外ももちろん重要ですが、はやり発明のコアの部分を厚く記載し、それとの関係が薄れるにつれ、記載の厚さを薄くしていくという感じがバランスがいいと思います。例えば液晶のセルに関する発明で、偏光には何の関係もない発明について、偏光フィルターについての一般的な記載を長々と記載することは何の意味のないでしょう。もちろん、長々と記載することに権利上のデメリットはなく、むしろ好ましいですが、長い明細書は翻訳料や事務所費用などで確実にコストアップに繋がりますので、必要な部分を厚く記載し、それ以外の部分は必要な分量を記載するという方針がコストパフォーマンスに優れていると思います。
全体のバランスが取れた明細書を作成するための即効性のある方法は、単純に、1/4の縮小印刷をして、ある程度出来上がった明細書全体を俯瞰的に眺めることです。ワードで10.5ptか12ptであれば1/4のサイズでも十分に読むことができ、どの部分が発明のコアで、どの部分が一般的な記載かがすぐに分かります。複数の実施形態を作成する場合でも、記載が多すぎるもの、少なすぎるものもすぐに分かります。また、全体の構成を頭に入れながら読むと、内容も理解しやすくなります。
もちろん、印刷コストが低減されるので、事務所運営費の節減・クライアントへの請求額の低減に繋がります。
特許事務所での印刷枚数は膨大ですので、印刷コストを約1/4にできることは経営効率の改善に繋がります。その成果が合理的な料金の提案に繋がります。
最初は小さすぎるように感じますが、慣れると標準サイズで印刷したものは、全体像が見えにくくて読む気がしなくなります。

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