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平成23年法律改正ざっくり2 冒認出願等に係る救済措置の整備

2012.03.06

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平成23年法律改正(平成23年法律第63号)解説書
第1章 通常実施権等の対抗制度の見直し
第2章 冒認出願等に係る救済措置の整備
第七十四条
特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
冒認出願や共同出願違反があった場合、真の権利者は、自分で出願を行っていないにも関わらず、勝手に出願を行った者から特許権の移転を請求できるという規定です。
従来はこのような規定は存在しておらず、出願後に偽造の譲渡証で勝手に名義変更されたといったとんでもないケースに限って移転登録請求が認められたものが有りました。詳細はこの記事
今回の改正のポイントは、自分で出願を行っていないにも関わらず、というところです。
このような規定を設けるべきか否かは散々議論されたと思いますが、どうして、自分で出願をしなかったものに移転登録請求を認めるべきなのか、どうにも理解できません。
例えば、特許出願するかどうか迷ったあげく、結局、特許出願しないことを選択した場合、公開後に、やっぱり出願したいと思っても、もう手遅れですよね。それと何が違うんでしょう。出願しなかった人は、権利が欲しくなかったのだから、冒認や共同出願違反で特許が消滅すればそれで満足なのでは?
例外的に認めてもいいかと思うのは、甲と乙の共同発明の場合で、甲が乙に出願の申し出をしたにも関わらず、乙が同意せず、出願できなかった場合であって、実は、乙が勝手に単願で出願していたという場合です。この場合、甲は、出願したかったのにできなかったのだから、救済してあげてもいいかなぁ、と思います。

第3章 審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求の禁止
第4章 再審の訴え等における主張の制限
第5章 審決の確定の範囲等に係る規定の整備
第6章 無効審判の確定審決の第三者効の廃止
第7章 料金の見直し
第8章 特許料等の減免に係る関係法令の見直し
第9章 発明の新規性喪失の例外規定等の見直し
第10章 出願人・特許権者の救済手続の見直し
第11章 商標権消滅後一年間の他人の登録排除規定の廃止

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