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開示範囲が同じでも明細書の表現が異なる出願

2011.12.27

伊藤 寛之

http://okwave.jp/qa/q7161640.html
クライアントから上記の事案の相談を受けた場合、国内優先を行なって、広い請求項を作成し、先の出願の請求項を従属項にすることをアドバイスすると思います。
1.先の出願が特許になった場合、後の出願は、先の出願によって39条違反で拒絶される可能性大です。国内優先で一つの出願にしておけば、先の出願の請求項と、それを広げた請求項の間で39条が問題になることはありません。
2.先の出願の請求項を補正によって広げると、新規事項の問題が生じる場合があります。構成要件を削除する補正は認められる可能性もありますが、国内優先をした方が安全です。
3.手駒を増やしたいのであれば、必要に応じて分割出願をすればいいので、現時点で別出願をする意味はないと思います。
一般的には、先の出願の発明をより具体化した発明をした場合は、国内優先はリスクがあるので、どちらかというと別出願を薦めます(コスト面から国内優先を薦める場合もあります)。
リスクについては、以下の判例を参照してください。
優先権主張のリスクを考える上で知っておくべき判決(人工乳首事件)
先の出願の発明をより抽象化した発明をした場合は、上記のリスクはなく、むしろ別出願をした場合は39条違反のリスクがあるので、国内優先権出願を薦めます。

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