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「方言だっつ,Hoogen-Dazs」(指定商品:アイスクリーム)は、19号違反

2012.09.27

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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259893.html
3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成23年12月26日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標を使用したアイスクリームは、1961年に米国において誕生し、我が国では、1984年10月に販売開始、同年11月には東京・青山に「ハーゲンダッツショップ青山店」が開設され、以来27年間にわたって「ハーゲンダッツ」と称呼され継続して販売されていること、我が国における2006年(平成18年)ないし2010年(平成22年)の売上高は、毎年355億円ないし438億円に達していること、本件商標の登録出願前から現在に至るまで各種新聞、雑誌で頻繁に取り上げられ、紹介されていること、2009年(平成21年)度のアイスクリーム国内販売額シェアでは第5位であり、2010年(平成22年)11月ないし12月には日経BPコンサルティングが行ったブランドに関する市場調査では「消費者から見た総合力」で31位(前年度は27位)であったこと(甲第7号証)などが認められることから、引用商標は、本件商標の登録出願の時には既に申立人の業務に係る商品「アイスクリーム」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されており、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと判断するのが相当である。
(2)本件商標は、上記1のとおり、「方言だっつ,Hoogen-Dazs」の文字からなるものであり、該文字に相応し「ホーゲンダッツ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そして、本件商標は、コンマ「,」を介していること、及び日本文字と欧文字との文字の種類が異なることから「方言だっつ」と「Hoogen-Dazs」の各文字部分に視覚上分離して看取されるばかりでなく、その欧文字部分が上記(1)のとおり、我が国で周知著名と認められる引用商標と第2及び第3番目の文字「oo」と「aa」とが相違するものの、他の欧文字は大文字か小文字かも含めその配列を共通にするものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が該欧文字部分に着目することが少なくないものと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中「Hoogen-Dazs」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであって、該文字部分を他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものというべきであり、該文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものである。
他方、引用商標は、上記2(1)のとおり「Haagen-Dazs」の欧文字を横書きしてなり、該文字に相応して「ハーゲンダッツ」の称呼を生じるものであり、アイスクリームのブランドとしての「ハーゲンダッツ」の観念を生じるものといえる。
そこで、本件商標の「Hoogen-Dazs」の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、外観においては、いずれも11文字からなり、第2及び第3番目の文字「oo」と「aa」とが異なるのみで、他の欧文字は大文字か小文字かも含めその配列を共通にするものであるから、近似した印象を与える相紛らわしいものである。
次に称呼についてみれば、両者のそれぞれから生じる「ホーゲンダッツ」と「ハーゲンダッツ」の称呼とは、いずれも7音からなり、第1音の「ホ」と「ハ」が相違するのみで他の音を共通にするものであり、しかも、相違する「ホ」と「ハ」は同行に属する近似音であるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調・語感が極めて近似したものとなり、彼此相紛らわしいものである。
なお、「Hoogen-Dazs」の文字部分から「フーゲンダッツ」の称呼が生じるとしても、該称呼と「ハーゲンダッツ」の称呼とは、上記と同様に相紛らわしいものといえる。
また、観念においては、前者が特定の観念を生じないものであるから、両者は観念において区別することができない。
そうすると、本件商標の構成中「Hoogen-Dazs」の文字部分と引用商標の外観、観念及び称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して商品の取引の実情を考慮すれば、両者は、外観及び称呼において相紛らわしく、観念において区別することができないものであるから、商品の出所について誤認、混同を生じさせるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、類似の商標といわなければならない。
そして、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(3)さらに、本件商標は、上記のとおり、申立人の業務に係る商品「アイスクリーム」を表示するものとして周知著名な引用商標と類似するものであって、かつ「アイスクリーム」を指定商品とする本件商標の商標権者が周知著名な引用商標の存在を知らなかったものとは考え難いことからすれば、本件商標は、引用商標の周知著名性にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得る目的など不正の目的をもって使用をするものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当するものである。

(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号の規定に違反してされたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
本件商標について通知した上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

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