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格子状の地模様で識別力が認められた例

2012.09.20

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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259729.html
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類、第14類、第18類及び第24類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年9月15日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同23年6月6日付け手続補正書により、第9類「鼻眼鏡,眼鏡,ゴーグル,サングラス,鼻眼鏡のマウント,眼鏡及びサングラスの部品及び附属品」、第14類「ネクタイピン,その他の身飾品,カフスボタン,腕時計,懐中時計,時計,時計の部品及び附属品,キーホルダー,キーリング,宝玉及びその模造品」、第18類「アタッシュケース,トランク,かばん類,札入れ,名刺入れ,クレジットカード入れ,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘並びにその部品及び附属品,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第20類「まくら,寝具類(リネン製品を除く。)」及び第24類「まくらカバー,ベッドカバーシート,キルトカバー,羽布団・掛け布団・布団用カバー,ベッド用毛布,コットン製毛布,ひざ掛け用毛布,毛布,ベッド用リネン製品,敷布,ベッドシーツ,ベッドカバー,タオル,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,テーブルクロス(紙製のものを除く。),テーブル掛け」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、格子状の地模様と認識されるものであって、特徴的な部分を有しないものであるから、これに接する需要者・取引者は、自他商品識別力のある部分を認識することができず、これを本願指定商品に使用しても、何人かの業務に係る商品であるのか認識することができないものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨判断し、本願商標を拒絶したものである。
3 当審の判断
商標法第3条第1項第6号において、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」は登録を受けることができない旨定められるところ、通常、地模様(例えば、模様的なものの連続反復するもの)のみからなるものはこれに該当するものと解される。
そこで、本願商標についてみるに、本願商標は、別掲1に示すとおり灰色の細長い長方形4本と黒色の細長い長方形3本とで正方形を作り、それを組み合わせて寄木細工のように配した図形であるところ、本願商標の構成態様においては、その商標自体に特徴的な形態ないし特異性を見いだすことはできない。
してみれば、本願商標は、一般的に、単なる地模様(模様的なものが連続反復するもの)からなるものと認識され得るものである。
しかしながら、請求人の提出に係る証拠資料を徴し、かつ、当審において職権をもって調査したところ、請求人は、1938年にニューヨークの中心であるマディソン・アベニュー45番地にアイビーリーグ出身者を対象とした紳士服専門店として誕生した(日本では、1981年に青山店と銀座店、1989年に神戸店がオープンした)。そして、請求人は、1986年に請求人のブランドを象徴する「パケ柄」と称する寄木細工のようなパターンを構成した柄(本願商標)を考案し、ジャケット柄として取り入れた。その後、請求人は、現在に至るまで、長期間にわたり、「被服,バック,靴,毛布,タオル」等多種類の商品に「パケ柄」と称する本願商標を付して製作、販売している。
その結果、本願商標は、請求人のブランドである「Paul Stuart(ポール・スチュアート)」の「パケ柄」として知られ、人気を博していることが認められる。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用したときは、これに接する取引者・需要者は、単に商品の地模様として認識するよりも、その商品が請求人の業務に係るものであることを認識するものであり、十分に自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、需要者が何人の業務に係る商品であるかを認識することができるものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとし、本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

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