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取引の実情を考慮してPA○CKをパオックと称呼

2012.09.17

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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259719.html
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類及び第35類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年5月12日に登録出願され、指定商品及び指定役務については、原審における同年10月14日付け手続補正書により、第3類「研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,塗料用剥離剤,つや出し剤,せっけん類,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料」及び第35類「研磨紙・研磨布・研磨用砂・人造軽石・つや出し紙及びつや出し布の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 引用商標
登録第568995号商標は、「PACK」の文字を書してなり、昭和35年1月12日に登録出願、第68類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同36年4月1日に設定登録、その後、4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成13年5月9日に、第3類「磨き粉,磨き液,研磨紙,研磨布,つや出し紙,つや出し布」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、輪が付いた地球儀様の円からなる図形の左右を「PA」と「CK」の欧文字の2字ずつで挟む様に表した構成よりなるものである。
そして、近年では、需要者の注意を引き、視覚的効果をねらう方法として、各種レタリング文字が商品又は役務の広告、宣伝等において広く用いられている実情があることからすれば、本願商標の構成中の図形は、これのみで直ちに文字として認識するとはいい難いとしても、「O」の文字の特徴である丸い形状を有するものであり、その両側に欧文字を連ねていることと相まって、該図形は、「O」の文字を表すものとして把握されるものというのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、全体として「PAOCK」として把握される場合も決して少なくないといえる。
加えて、実際の取引においても、請求人の系列会社である株式会社パオックのホームページにおいて本願商標が使用されていることが、請求人の提出の資料から認められることからすれば、本願商標は、「パオック」と称呼され、取引に資されるものであるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、「パオック」の称呼を生ずるものであり、特定の観念は生じないものである。
これに対し、引用商標は、「PACK」の欧文字を書してなるところ、該文字は、「包み」の意味を有する英語であるから、「パック」の称呼及び「包み」の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標の類否について検討するに、外観においては、本願商標は、文字とともに一体的に表された図形を有するものであるから、引用商標とは、顕著な差異を有するものである。
そして、称呼において、本願商標から生ずる「パオック」と引用商標から生ずる「パック」の称呼とは、「オ」の音の有無という差異を有するところ、両称呼のそれぞれ4音及び3音という短い音構成中にあっては、該差異音が、称呼全体に及ぼす影響は大きいものであって、明瞭に聴別できるものである。
更に、観念においては、本願商標が特定の観念は生じないものであるのに対し、引用商標は、「包み」の観念を生ずるものであって、互いに紛れるおそれのないものである。
よって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、非類似の商標であるといえる。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当ではなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

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