ブログ

商標の通常実施権の許諾には契約書は必ずしも必要とされないと判示した判決

2010.12.06

SKIP


◆平成18年(行ケ)第10105号審決取消請求事件

★商標の通常実施権の許諾には要式行為は必要とされないとされた。
3 被告は,通常使用権の許諾契約の存在を示す証拠方法が全く提出されていな
いから,東急ストリームラインは通常使用権者でないと主張する。しかしながら,
契約書などの書面によらなければ,通常使用権を許諾することができないというわ
けではなく,また,契約書などの書面が証拠として提出されない場合であっても,
上記1の事実によれば,原告が本件商標について東急ストリームラインに通常使用
権を許諾した事実は優に推認されるのである。被告の主張及びこの点に関する審決
の事実認定に関する手法は,あたかも,実体法的には要式行為性を要求し,手続法
的には法定証拠力を想定するものであって,誤りである。
★ウエブページへの掲載や取引書類を顧客に渡すことが商標の使用に該当するとされた。
さらに,被告は,ウェブページでは,「旅費精算・管理システム」の名称として
本件商標を使用しているにすぎないし,提案書等は,商標法2条3項8号の「取引
書類」に当たらない上,特定の一企業に提示されただけであるから,同号の「頒
布」に当たらないと主張する。しかしながら,上記1の事実によれば,東急ストリ
ームラインのウェブページの掲載は,商標法2条3項8号にいうところの,本件役
務に関する広告を内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供する行
為に当たるものである。また,提案書は取引上必要な書類であるから,本件役務に
関する取引書類に当たるところ,通常,このような提案書は提供を求める特定の顧
客に交付されるものであるから,現実に提供を求める顧客に交付されている以上,
これを頒布したということができる。

アーカイブ