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過去の登録例を提示した反論が参考にならないと判示した判決

2010.12.01

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商標の審査は、感覚で決まるところも多いでしょうから、同じような商標が登録されているのに、自分の商標だけが拒絶されることも少なくないと思います。そんなときは、同じような商標が登録されているのだから、自分のも登録すべきだという主張をしたくなりますが、そのような主張は、あまり意味がないことを述べた判決です。

◆平成18年(行ケ)第10100号審決取消請求事件

★指定商品カレンダーで、商標「ペットコレクション」は、品質表示であるとされた。
オそうすると,「ペットコレクション」及び「pet collection」の文字か
ら成る本願商標を,例えば,本願の指定商品第16類中の「印刷物」に属す
る商品であるカレンダーに用いた場合,これに接する取引者,需要者は,
当該カレンダーが,上記エの例のような愛玩動物の記録や写真を集めたも
のであると認識するものと認められる。このように,本願商標は,商品の
品質を表示するものとして認識されるにとどまり,自他商品識別力を有し
ない。
また,「ペットコレクション」及び「pet collection」の語は,愛玩動
物の記録や写真を集めたカレンダー等を製作・販売しようとする者が,当
該商品の内容を適切に表現するために用いようとするものであるから,こ
れを特定人に独占させることは公益上適当でないものというべきである。
(3) したがって,上記(2)アに述べた商標法3条1項3号の趣旨に照らして,
本願商標が同号に該当することは明らかであって,これと同旨の審決の判断
に誤りはない。
★類似商標の登録例は、無効理由を包含しているかも知れず、参考にならないとされた。
3 過去の登録例に反することの誤りをいう主張につき
原告は,「ホースコレクション」,「RAILWAY COLLECTION」,「アニメコレ
クション」の文字から成る商標が現に登録されていることに照らして,審決の
判断は誤りであると主張する。
しかし,特許庁の手続により登録された商標であっても,無効原因を内包し
ていれば無効となることもあり得る。また,出願された商標が法3条1項3号
に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,指定商品又は指
定役務の取引の実情等を考慮し,個別具体的に判断されるものであるから,原
告の挙げた商標登録の例があるからといって,本願商標が登録されるものであ
るということにはならない。本願商標が,商品の品質又は役務の質を表示する
と一般に認識されるものであって,自他商品識別標識としての機能を果たし得
ないことは上記2のとおりであり,このことは,原告の挙げた商標登録の例が
存在することによって左右されるものではない。

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