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登録商標「AOZORA」である場合、「AOZORA AOZORA」に対して商標権の効力が及ぶか?

2010.11.04

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登録商標「AOZORA」である場合、「AOZORA AOZORA」に対して商標権の効力が及ぶか?
商標権の効力は、同一又は類似の商標に対して及びますので、
「AOZORA AOZORA」という商標が「AOZORA」という登録商標の類似の範囲に含まれるかどうかが問題となります。
類似かどうかは、商標のうち識別力を発揮する部分(「要部」といいます)を対比して、外観・称呼・観念が類似しているかどうかを基本に判断します。
ただし、これ以外にも、取引の実情が考慮されます。
「AOZORA AOZORA」は、2つのAOZORAが分離しているので、一つの「AOZORA」が要部であり、この要部と登録商標の要部が一致しているので、登録商標に類似すると判断される可能性が高いと思います。
但し、取引の実情によっては「AOZORA AOZORA」の全体を一つの商標であると認識されるようになると、非類似であると判断される可能性も残っています。
実際に、小僧寿し事件では、最高裁は、「小僧寿し」と登録商標「小僧」が非類似であると判断しました。
「小僧寿し」があまりにも有名すぎて、誰も「小僧」とは混同しないと判断されたからです。
従って、「AOZORA AOZORA」に対して、「AOZORA」の商標権が及ぶとは断言できないので、重要であれば、別途商標権を取得しておくことが無難だと思います。
小僧寿し事件最高裁判決抜粋
「商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。右のとおり、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、右三点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情等によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできないというべきである(最高裁昭和三九年(行ツ)第一一〇号同四三年二月二七日第三小法廷判決・民集二二巻二号三九九頁参照)」

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